2019年 入賞作品

《最優秀賞》髙橋 真由さん(日本大学芸術学部放送学科)【音声


今回このような賞をいただけたこと、大変光栄に思います。たくさんの人の創造力が結びついて出来上がっていくCMの姿を見て、これまで以上にCMが大好きになりました。まだまだ未熟ですが、この経験を活かし、もっと面白いCMを作れるクリエイターになりたいと思います。ありがとうございました。


《優秀賞》輿石 玲央さん(成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科)【音声


ラジオCMに関わってくれた人には、感謝の気持ちしかないです。選んでくれたFM東京のスタッフの皆さん、役者の方々、本当にありがとうございました。また受賞したことで、自分に挑戦する勇気と自信がつきました。受賞したことは大変光栄なことなのですが、ここで満足せず、これからも頑張っていきたいと思います。


《優秀賞》亀居 秀斗さん(HAL名古屋ミュージック学科)【音声


優秀賞という素晴らしい賞をいただいた事、自分が通う学校の宣伝を全国でさせていただけるという事、大変嬉しく、光栄に思います。制作にあたりご指導、ご協力いただいた皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございます。


《ブロック賞》

  • 荒幡 流花さん(北海道芸術デザイン専門学校産業デザイン学科グラフィックデザイン専攻) 【音声
  • 土井 茉由子(専門学校デジタルアーツ仙台声優科) 【音声
  • 石井 柊也(アーツサウンドビジュアル専門学校舞台音響照明学科) 【音声
  • 稲葉 亜美(宇都宮アート&スポーツ専門学校声優・アナウンス科 映像製作コース) 【音声
  • 川瀬 百華(名古屋文化短期大学生活文化学科 生活文化専攻 声優・タレントコース) 【音声
  • 堀越 一成(HAL大阪 ミュージック学科) 【音声
  • 神澤 実沙紀(大阪芸術大学放送学科・制作コース) 【音声
  • 板谷 怜美(県立広島大学人間文化学部 健康科学科) 【音声
  • 横田 結子(山口芸術短期大学芸術表現学科) 【音声
  • 田上 大喜(東海大学経営学部経営学科) 【音声
  • 山口 裕樹(鹿児島大学水産学部水産学科) 【音声

おめでとうございます!


特別審査員からの総評

【特別審査員長/弘兼憲史氏】

 今回は、芸術系の学校が多く、ネタとして制作しやすかったのではないかと感じたが、上位3作品は審査員全員が上位の点数をつけ異論もなくすんなりと決定した。
私は漫画家だが、漫画で読み切りの作品を作る場合は最初と最後がとても大切である。つまり、冒頭部分のインパクト、最後のオチが漫画では非常に大切である。今回審査をしたCMもこれを短くしたと考えれば、冒頭部分の強いインパクトを与える言葉が耳に残る感じがした。日本芸術大学の「あの星を盗んでもいいなら、君のためにプレゼントするよ」と男のキザな言葉の後、女のモノローグ「帰り道、気持ち悪いくらいロマンチックなことを、彼は平気な顔で言った」とある。この気持ち悪いくらいというのがちょっとクスッと笑わせるセリフのインパクトが強く、その後、男と女のかけあいで女が返す言葉が非常に良い。最後に「私はいつまで、そっけない演技を続ければいいのだろう?」とオチも決まり完璧な構成になっており、審査員3名とも高く評価したところである。
成城大学も、最初のインパクトがあった離婚届をビリッと破るシーンに引き込まれ、何があったのかと思っていた所に再び破く音のリフレインで非常にインパクトがあった。この後どうなるのだろうとハラハラ聞いていると、最後に「俺の字が違う」となり、そこがオチなのかと少し弱い印象ではあったが、強烈なインパクトの言葉と音がこのCMを最後まで聞かせる要素になっており、高評価であった。
HAL名古屋はよくあるアイディアであり予想はついていたが、最後の言葉で「現実と錯覚する世界を創る」とあり、この言葉がいかにも芸術を志す学校のコピーとしてとても良かった。現実と錯覚する世界は、芸術の分野では大切なことであり、このコピーの最後の締めがこの言葉で決まり非常にインパクトがあるいいCMとなっていた。

【特別審査員 谷山雅計氏】

 今回は、手元の原稿を見ずに耳だけで判断しようと審査に臨んだ。耳だけで聴くと情報の順番やコピーの構成の良し悪しがわかりやすい。逆に言うと少しでも構成が破綻していれば途端に耳だけだと何も伝わってこなくなる。そう考えると日本大学芸術学部の作品は、設定やセリフも優れている上に、入ってくる情報の順番が的確であるため受け手に苦労をかけていない。しかも受け手をきちんと楽しませるレベルまでに到達しており一つ抜けて素晴らしいと思った。
 一方、成城大学は、掴みの部分で何が始まるのかなと期待を持たせるという点においては、今回の作品の中で一番すぐれていたと思う。ただ、厳しく言うと20秒CMの中で掴みの興味だけでストンと終わらせていれば、もっと気持ちが良かったのではないか。最後どこに着地するのかもやもやとした点が惜しいが、20秒の中で少なくとも人に興味を持たせることが出来ていることは評価すべきだと思う。
 HAL名古屋は、過去のCMで類似したネタやギャグ、或いはシュールな世界観をもった作品を何度か聞いたことがある既聴感はあったが、学校の中身を伝えることはワン・アイディアで達成していて無駄がない。シンプルに「CGが学べる学校ですよ」と心に入ってくる。広告は対象から遠く飛躍することによって面白くするやり方と近くで明確に伝えるという両方の手法があるが、この作品は後者としてあるレベルまで行っていた思う。

【特別審査員 箭内道彦氏】

 かつてラジオが一度、アウト・オブ・トレンドとなった時期があったのかもしれないが、今回の14作品の審査で「ラジオを聴いて育った若い世代」が久しぶりに登場した感じがした。ビジュアルが無い中、イマジネーションでそれを補完していくトレーニングを、高校生の頃からラジオ番組を聴く事でリアルに培ってきた世代であろうと感じた。ラジオというメディアの復讐・逆襲・そして新たな創造がすでに成果となり始めていることを体感する。

もう一つは、今の世の中、対象を一方的に攻撃したり、言葉を表層で判断したりすることが多いが、特に受賞3作品においては、そうではなく、とてもチャーミングに裏切ってくれていた。日本大学芸術学部は素敵なオチがあった。成城大学は深読みすると夫は離婚したくないのではないかとも思えた。最後の言葉通りに身近な情報から疑うのではなく、離婚したくないのに離婚届を破った、名前を間違えないでほしかった点に対し怒っているのではないのではないか。このような「愛ある視点」は、世の中に足りない、これからの世の中に必要なものだと強く思う。HAL名古屋のCGの作品は、少し前だとCGは冷たい、血が通っていない等、批判が主眼になったと思うが、CGであることも悪い事ではないのかもしれないと感じさせてくれる単眼的でない終わり方だった。
こういう場所から、きっと少しずつ世界は平和になっていく。そんなラジオCMを作る新しい世代が出現した。とても頼もしく心強い。