2024年 入賞作品

《最優秀賞》小林 侑生さん(HAL東京)


《優秀賞》野山 絢音さん(HAL大阪)


《優秀賞》古賀 渚彩さん・濵口 愛歩さん・松本 明莉さん・安武 優希さん(福岡女学院看護大学)


《ブロック賞》

佐野 萌花(北海道芸術デザイン専門学校)

藤巻 英人(岩手医科大学)

市原 尚弥(専修大学)

杉原 翔太(HAL東京)

加藤 瑚羽紅(新潟デザイン専門学校)

日沖 達登(HAL名古屋)

林 泰蔵(中京大学)

熊谷 静太郎(立命館大学)

山本 真唯(総合学園ヒューマンアカデミー広島校)

都築 心葉(龍馬デザイン・ビューティ専門学校)

高瀬 瑛里(日本文理大学)

特別審査員からの総評


【特別審査員長/弘兼憲史氏】
審査員3人の高得点が上位3作品に集中したが、どの作品を最優秀賞とするかでは意見が分かれた。
審査員の協議の末、「シーン」というオノマトペを音にするというアイディアを持ってきたHAL東京・小林侑生さんの作品を選んだ。我々漫画家は「シーン」「ピシッ」「ガーン」など、実際には音が出ていない場面でも文字で書けるが、これを音声メディアのラジオでやろうとしたところが面白かった。これをラジオCMとして制作するにあたり、先生が発するオヤジギャクの前後に、長い無音の間(ま)を思い切って入れるという大胆なところも良かった。
優秀賞となった福岡女学院看護大学・古賀渚彩さんの作品は、学生同士の会話が本当に楽しそうで、この学校へ行って学びたいという気持ちを起こさせる、実に良い効果のあるラジオCMだと思った。
実は、もう一つの優秀賞、HAL大阪・野山絢音さんの作品に、私は高得点を付けた。作品中の「音を変えるだけでこの森は、朝にも夕方にも、夜にだってなるかもしれません」というコピーが非常に好きで、夜の森の音や夕方の森の音もすべて聴いてみたいという気持ちになった。CM秒数の関係で無理だと思うが、このコピーが気に入って高得点を付けた。

【特別審査員/谷山雅計氏】
ラジオの審査なので、できあがったラジオCMを耳だけで聴いて判断するのが本来あるべき姿なのだろうが、学生のみなさんの可能性を見つけるためには、文字の原稿を確認して光るところを探す作業も大切に思えた。
そういう意味で非常に惜しい作品もあり、原稿にはしっかりとしたアイデアが存在して学生がよくこれを考えたなと評価したいのに、現物のCMになった時点では伝わる仕上がりになっていないものもあったのではと感じる。
最優秀賞となったHAL東京・小林侑生さんの作品は、アイデアと仕上がりの両方が兼ね備えられていた。一番難しい効果音は「シーン」だというテーマを見つけてきたことが既に素晴らしいうえ、そこにプロの力を足すことで、世の中に堂々と出せる完成品になっている。コンテストとして一等賞を選ぶならこうだという判断は間違いのないところだろう。
とは言うものの、面白いところに着眼したな、気がついたなという「突破力」の強いコピーやアイデアがあれば多少の完成度のゆるさもふっとばしてしまえるのが広告。今後はそんな挑戦作の登場にも期待したいと思う。

【特別審査員/箭内道彦氏】
若いパワーこそがラジオと広告の未来を作ります。自分が通う学校をどう捉えどう発信するか、そこに瑞々しいクリエイティブの力が生まれる。それは大人たちにはできないことです。
最優秀賞となったHAL東京・小林侑生さんの企画は、その仕上がりに、担当したTOKYO FMの制作陣を本気にさせましたね。若い発想がプロの人間を刺激する、それもこのコンテストの持つ魅力のひとつです。先生の台詞がオヤジギャグに思えたり、先生と学生の関係性など、言葉の奥にある様々なものが垣間見えるCMコピーです。自分たちが学んでいる専門性に対する誇りも感じることができました。
僕が最高点を付けたのは、優秀賞となった福岡女学院看護大学・古賀渚彩さんの作品でした。「あるある」というのはありがちな手法ではありますが、看護大学で学ぶ学生さん達の声をリアルに聴かせてもらったことで、生命を支え、守っていく仕事にこれから就こうとしている人たちの頼もしい姿をうかがい知ることができました。
優秀賞となったHAL大阪・野山絢音さんの作品。僕自身、音が人に与える影響は映像に較べて非常に大きいと思っており、人が抱く印象を音が規定していくというところに共感できました。仕上げがより深いものになると、もっと強い作品になったと思います。