私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺っていく「Know The Sea」。Podcastなどを介してお届けしているこのコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回は、生き物ハンター、生き物ライター、そして人気YouTuberとして活躍されている平坂寛さんがゲスト。危険生物や深海生物に自ら噛まれたり刺されたりする、その驚きの活動とその裏側にある「知的好奇心」について語っていただきました。
「一番痛かったのはオニダルマオコゼ」
YouTubeチャンネルを運営する平坂さん。そこには毒を持つ危険生物に自ら刺されたり噛まれたりする衝撃的な映像が並びます。
「世界最強の猛毒魚『オニダルマオコゼに刺されてみた』という動画は本当にすごいです。なぜ、そこまでして危険な生物に刺されようと思ったのですか?」という質問に、平坂さんはこう答えます。
「子供の頃から、どのクワガタが一番挟まると痛いかな、とか、似たようなことはやっていました。世の中には危険な生き物と言われているものがたくさんいます。でも図鑑や本には『危険です』『刺されると痛いです』の二言しかない。ミツバチもオニダルマオコゼも、同じ痛みであるわけがない。実際に刺されて、どれくらい痛いのか、どんな症状が出るのかを知りたいんです」
この活動の根底にあるのは、生き物をもっと深く知りたいという純粋な思い。刺されたり噛まれたりすることで、その生物がなぜ毒を持っているのか、その毒は獲物を狩るための道具なのか、といった考察ができるのだそうです。
「痛いことが好きというわけではないんです。生き物が知りたいから刺されているだけ」とキッパリ。そんな平坂さんが「今までで一番痛かった」と語るのは、やはりオニダルマオコゼのようです。
「あれは痛いを通り越して怖かったですね。自分がどうなってしまうんだろう、って」
危険生物との正しい付き合い方
海の生物には毒を持つものが多く存在します。クラゲや、釣れる小魚の中にも毒のあるものがいるといいます。しかし、平坂さんはこう続けます。
「正しく知れば恐ろしくないんです。危険な目に遭わずに済むので、リスク管理の意味も込めて、啓発のためにも有毒生物を紹介しています」
ちなみに平坂さんの活動には“食べる”“噛まれる”“刺される”をする上での原則みたいなものがあるそうです。
食べる:どんな味がするのか知るため、まずシンプルな味付けで素材本来の味を確かめる。
噛まれる・刺される:事前に徹底的に下調べをし、命を落とすような重篤な症状が出ないよう計算して臨む。医療機関に迷惑をかけない。自力で治すことを基本としている。これは、医師にかかってしまうと毒の効き目の経過観察ができなくなってしまうため。
「時々、図鑑や本に書かれていることと、実際に体験した毒の効き目が違うこともあります。特に『あれ?そんなに大したことないぞ』というパターンはしょっちゅうありますね」
これは、大人や子供に危険性を周知させる際に、過度に怖がらせるような表現が使われがちであることが原因ではないかと平坂さんは推測します。
「もちろん、お子さんの場合は大人よりも症状が重くなることがあるので、注意喚起は必要です」
オニダルマオコゼから学ぶ海の安全
平坂さんの動画の中でも特に人気なのが「オニダルマオコゼ」の回です。この魚は、岩にそっくりな姿をしており、知らずに踏んでしまう事故が後を絶ちません。
「彼らは見た目が岩にそっくりなので、いまだに僕でも見間違えることがあるくらいです。足を踏みつけると、背びれにある毒針が貫通してしまうことがある」
オニダルマオコゼの毒針が背中にあるのは、下から来る敵がおらず、上から来る天敵を撃退するためだと平坂さんは解説します。
「砂地混じりのリーフに多く生息しています。サンゴが生えているようなきれいな海辺は、ついつい素足で歩きたくなるものですが、オニダルマオコゼだけでなく、毒のあるウニや大きなハサミを持つカニもいるので、マリンブーツを履いて歩くことをお勧めします」
平坂さんの動画は、反面教師として危険生物について学ぶ上で非常に有効です。中には、平坂さんの動画や本を読んで水産系の大学に進学を決めた人もいるそうで、生き物への興味を持つきっかけづくりにも貢献しています。
平坂さんの知的好奇心から生まれる危険生物との対峙は、私たちに海の生物の奥深さや、安全に楽しむための知識を与えてくれます。今後も平坂さんの新たな冒険から目が離せません。
このコーナーはAuDeeでも配信中です。ぜひアクセスしてみてください!
平坂さんのインタビュー後編は「釣って、食べて、調べる深海魚」について。次回もお楽しみに!






