私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺っていく「Know The Sea」。Podcastなどを介してお届けしているこのコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回は、3年前に設立された一般社団法人サンゴ保全協会の代表理事、山城正巳さんにお話を伺いました。沖縄県恩納村在住で、漁師、そしてダイバーでもある山城さんが、長年にわたり見つめてきた恩納村の海の魅力と、サンゴ保全に懸ける熱い思いを語っていただきました。
熱帯魚が泳ぐ美しい海:恩納村の魅力
沖縄本島の中部西海岸に位置する恩納村は、リゾートホテルが多く立ち並ぶ風光明媚な場所です。国定公園にも指定されていて「青の洞窟」のような神秘的なスポットも数多く存在します。
漁師として山城さんは獲るのは沖縄の魚。
「マダイのような魚は獲れないんですが、ブダイのような青や赤、黄色の魚を獲っています。沖縄の市場に行くと、その色の豊かさに驚くと思いますが、味はどれも淡白な白身ですよ」。 そんなカラフルな魚たちが暮らす恩納村の海中には、通称「テーブルサンゴ」が、水深3メートルから18メートルまでびっしりと生えていました。日本には約400種類のサンゴが生息していますが、恩納村の海にはその半数以上、約260種類ものサンゴがいるそうです。
地球上の魚の25%が暮らすサンゴ礁
サンゴは植物のように見え、光合成を行う褐虫藻という藻類と共生することで栄養を得ていますが、実は動物。
そのサンゴが織りなすサンゴ礁は、地球の海の面積の0.2%しかありませんが、魚の約25%がそこで暮らしていると言われています。
「サンゴ礁は食物連鎖の始まりを支えるエビやカニといった小さな生き物の住処となり、イカなどが産卵する『海のゆりかご』のような役割を果たしています」。
また、サンゴがあると海の酸性化を防ぐ効果も得られることが分かっていて、海全体の環境を浄化する存在でもあるのです。
サンゴの危機:温暖化と「白化現象」
当初、山城さんは漁協のサンゴ部会に所属し、恩納村の海をどうにかきれいにできないかと、養殖に取り組み始めました。
1998年には大白化現象で、沖縄全体のサンゴが9割も死んでしまうということもありました。サンゴが白くなる「白化現象」の最大の原因は、海水温の上昇。
つまり、いま沖縄のサンゴは大きな危機に瀕しています。
「沖縄ではこの数年、台風がほとんど来なくなりました。台風は海水をかき混ぜ、水温を4度ほど下げてくれる役割があるのですが、それがなくなり、海水温が下がらなくなっているんです」。 海水温が40日ほど高い状態が続くと、サンゴは回復が難しくなります。しかし、中には暑さに強いサンゴもいることが分かっており、山城さんは恩納村にある沖縄科学技術大学院大学に協力を依頼し、そのメカニズムを研究してもらっています。
組織化と未来への挑戦:みんなでつなぐサンゴの輪
恩納村の海には、山城さんたちが養殖したサンゴが約4万本も植えられています。平均すると年に1,000本のサンゴを植え付けており、「サンゴの日」である毎年3月5日には必ず350本を植える活動を続けています。
2022年に「サンゴ保全協会」として組織化したのは、この恩納村での成功を他の地域にも広げるため。
「恩納村での養殖がうまくいって、他の地域の漁協さんも関心を持ってくれました。しかし、資金面ややり方が分からず、なかなか始められない。そこで、社団法人として、奄美大島から宮古、石垣、久米島まで、同じ方式で養殖を進められないかと働きかけているところです」。
琉球列島全体のサンゴを、次の世代に継承していくことが山城さんの目標です。行政や学校、子どもたちとも連携し、地域全体でサンゴに関心を持ってもらうための活動を展開しています。
「50年前にあったサンゴ」を取り戻す
山城さんの目標は、とてもシンプルで力強いものです。
「50年前にあったサンゴが戻ればいいかな」。
その頃の海は、サンゴがびっしりと生え、信じられないほどたくさんの魚がいたと言います。
この美しい海を守るために、私たちにできることは、SDGsの精神を意識した生活を心がけること、そして何より「海に関心を持つこと」です。
最後に、山城さんにとって海はどんな存在か伺いました。
「心が安らぐところですね。日々の嫌なことがあっても、海を見ると心が癒されます。海に入ってきれいなサンゴ礁を見ると、時間を忘れて泳いでしまいます」。
恩納村のおすすめスポットは、どの海岸からでも見られる美しい夕日だと言います。夕日に染まる海を眺めながら、その海に暮らすサンゴや魚たちのこと、そして未来の海のことを想像してみてはいかがでしょうか。
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