私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺っていく「Know The Sea」。Podcastなどを介してお届けしているこのコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回のゲストは、今年4月に福岡県柳川市にある「やながわ有明海水族館」の館長に就任した中学1年生の岩崎優介さんです。学生館長制度を設ける「やながわ有明海水族館」ではありますが、12歳での就任は最年少。そんな岩崎優介さんに水族館のこと、大好きな海の生き物のことをリモートで伺いました。
ユニークな生き物が暮らす「やながわ有明海水族館」
やながわ有明海水族館は、2010年「おきのはた水族館」として開館。2016年に現在の名称に引き継がれました。柳川観光で有名な川下りや、うなぎ屋さんが軒を連ねる通りの一角にある地域に根差した水族館です。
その特徴は、有明海と柳川の堀に住む個性豊かな生き物たちの展示。
特に有明海のワラスボは、ギザギザの歯と大きな口を持つユニークな姿で一度見たら忘れられないインパクトを放つ魚です。 一見すると怖いモンスターのようですが、実はハゼの仲間。岩崎さん曰く、よく見ると退化した目が黒く小さな点のように埋もれていて、それが「可愛い」と感じるとか。
日本一の干満差が育む多様な生態系
有明海は時間帯によって広大な干潟が広がるという、他の海と違う特殊な環境があります。
「干潮時と満潮時の水位の差が6〜7メートルあって、すごく深いです」と岩崎さん。
干潮時には、ムツゴロウやトビハゼなど、陸上で生命活動を行える種が活動します。満潮時には、それらの生き物は巣穴に入り、一般的な魚種が泳いでやってきます。 大きな干満差が、そんな有明海の多様な生態系を育んでいるのです。
館長が選ぶ「推し魚」ベスト3
大の海の生き物好きである優介館長に、水族館の生き物の中から「推し魚」ベスト3を聞いてみました。
第3位:スズキ
「有明海のスズキは、大昔に日本と中国が繋がっていた時に日本に入ってきた、大陸スズキと交雑した特殊な種類です」。一般的なスズキが銀色ですが、有明海のスズキは銀色の体に黒い斑点があるのが特徴。
第2位:ワラスボ
ギザギザの歯で“悪い”印象のワラスボですが「みんなが知る怖いイメージとは違って、退化した目が黒い点になっていて、よく見ると可愛いです」と、意外な魅力を教えてくれました。
第1位:ムツゴロウ
やはり一番の「推し」はムツゴロウ。他の魚と違い、陸上にいてジャンプしたり、這ったりするユニークな生態が魅力だと言います。さらに「瞳がハート形なんです」と、知られざる可愛らしさを教えてくれました。ムツゴロウは刺身にしても美味しく、地元ではおなじみの食べ方だそうです。
「自分ができる範囲で」:館長就任までの道のり
岩崎さんが初めてやながわ有明海水族館を訪れたのは小学2年生の時。それ以来、何度も通っているうちにスタッフの方たちと顔なじみになり「子どもの職員にならないか」と声をかけられたことが、館長への第一歩でした。
前館長が引退し、館長が不在だった時期に打診された時、岩崎さんは「正直、自分には無理だと思った」そうです。しかし、「自分ができる範囲でいい」というスタッフの言葉に背中を押され、館長就任を決めました。
実際に館長になってみて、「楽しいです」と笑顔で語る優介さん。夏休みには水族館でイベントを開催したり、普段は水槽の掃除や餌やりをしたりと、館長としての仕事を楽しんでいます。
時には来館した生き物に詳しい中高生と有明海の魚やニホンウナギについて語り合うこともあるとか。
伝統漁法を学び、自然の魅力を伝えたい
館長としての今後の目標について聞くと「いつか有明海の伝統的な道具を使った漁業について話し、たくさんの人に伝えたい」と答えて下さいました。
ムツゴロウを獲るための特殊な道具「むつかけ」のように、有明海には独特の漁業文化があります。こうした伝統とその魅力を伝えていきたいと考えているのです。
館長としての任期は、特に決めていないとのこと。「自分ができるまでが任期だと思っています」と、力強い言葉が返ってきました。
その任期の中で伝えたいことは、「生き物の魅力」と「自然の大切さ」。
最後に、優介さんは「人間たちも元々は魚で、海にいたもの。だから海を大切にするのは義務だと思う」と、12歳とは思えない深く、大切なメッセージを語って下さいました。
やながわ有明海水族館を訪れる際は、ユニークな生き物たちと未来の海の守り人である若き館長に、ぜひ会ってみてください。

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