シャークジャーナリスト

沼口麻子

私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺っていく「Know The Sea」。Podcastなどを介してお届けしているこのコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。

前回に引き続き、世界で唯一のシャークジャーナリスト、沼口麻子さんをお迎えしました。今回は、絶滅の危機に瀕しているサメの現状と、その保全に向けた取り組み、そしてサメへの「愛」を広げる活動について深く掘り下げていきます。よろシャークお願いします!

絶滅危惧種37%:サメが直面する厳しい現実

国際自然保護連合のレッドリストによると、現在、世界のサメの37%が絶滅危惧種に指定されています。サメが減少している主な原因の一つとして、意図しない大量捕獲が挙げられます。

「日本でサメ漁が盛んに行われているわけではないんです。ただ私たちがよく食べるイワシやサバなどを大きな網で獲る際、そこにいるサメが一緒に網に入ってしまうことがあるんです」と沼口さんは説明します。

「またサメは、一度数が減ってしまうと増えにくい生き物です。あまりたくさん卵を産むタイプの魚ではなく、例えば、妊娠期間が20ヶ月もかかるサメもいれば、最も長いラブカという種類は3年半もかかります。それでも生まれるのは8匹程度です」。

サメが減り続けることで、サメの繁殖サイクルが追いつかず、絶滅に向かってしまう可能性があると沼口さんは警鐘を鳴らします。

保全への道は「知る」ことから:サメ研究の難しさ

サメの減少を食い止めるために人間ができることは何か。沼口さんは「一言で言うのは難しい」と語ります。その背景には、サメ研究の途方もない難しさがあるからです。

「例えば、2017年に絶滅危惧種に指定されたシロワニというサメの保全活動は、まず「海の中に何匹いるのか」を調べることから始まります。生息数が200個体なのか、1万個体なのかによって、保全の方法は大きく変わってきます。

また、サメは非常に長寿な生き物でもあります。最も長寿なニシオンデンザメは400歳以上生きると言われており、人間の寿命が80年と考えると、何世代にもわたる研究が必要になります。」

時間もコストもかかる、気の遠くなるような研究の道のり。だからこそ、沼口さんは別の角度からサメの保全に貢献しようと活動しています。

「サメを『怖い』と思ってしまうと、殺してもいい、死んでもいいという考えになってしまいます。そうではなく、サメは生態的に面白くて魅力的な生き物だと伝えるために、全国で講演活動をしています。まずはその入り口からなんです」。

「居場所」を見つけた子どもたち:サメサメ倶楽部の絆

サメへの愛を広めるために、沼口さんが主催しているのが「サメサメ倶楽部」です。サメが好きな人が集まり、それぞれの興味を追求したり、サメ好きの仲間を作ったりするコミュニティです。現在90組ほどのメンバーがおり、幼稚園から小学生までが活発に自由研究を発表したり、解剖イベントに参加したりしています。

サメサメ倶楽部で居場所を見つけた子どもたちのエピソードは、沼口さんの活動の大きな原動力になっています。

「クラスでサメの話をしても誰も聞いてくれなくて寂しい思いをしていた女の子が、『サメサメ倶楽部に入ったらみんながサメ好きだから、何時間でもサメの話ができる。居場所を見つけた』と言ってくれたんです」。

また、5歳の男の子が自作の紙芝居でサメの魅力をプレゼンしてくれたこともあったそうです。 「そういう子が増えると、サメについての正しい知識や魅力がどんどん広まるので、すごく嬉しいですね」。

サメを身近に学ぶ「日本で唯一の博物館」へ

現在、沼口さんは宮城県大崎市に、サメについて学び合える施設を建設中です。

もともと個人の病院だった建物を改装し、サメの小さな博物館兼ワークショップスペースにする構想です。

「サメは誤解されやすかったり、アクセスが非常に難しい生き物です。解剖や標本作りも、強烈なアンモニア臭がしたり、100kgを超えるような大きな個体を扱う必要があるため、簡単にはできません。だからこそ、そうした課題を全て解決して、気軽にサメを学べる場所を日本で一箇所、ここにちゃんと作るのが直近の私の目標です!」

サメに対して「怖い」「恐ろしい」というイメージを持つ人は少なくありません。しかし、沼口さんの話を聞くと、「ちょっと出会ってみたい」「もっと知ってみたい」という気持ちが芽生えてきます。サメを知るきっかけ、好きになるきっかけが生まれる、そんな博物館の完成が今から楽しみです。

今回のゲストはシャークジャーナリストの沼口麻子さんでした。ありがとうございました。

このコーナーはAuDeeでも配信中です。ぜひアクセスしてみてください!

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