私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺っていく「Know The Sea」。Podcastなどを介してお届けしているこのコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回は、テレビ、ラジオ、絵本、イベントなど多方面で活躍されている「さかなのおにいさん」こと川田一輝(かわた かずき)さんをリモートでお迎えしました。子どもたちに魚を好きになってもらうための取り組み、魚への深い愛情と情熱を語ってくれました。
部屋も蝶ネクタイも魚だらけ!“さかなのおにいさん”が語る魚への深すぎる愛
リモート出演はご自宅から。まるで海の中にいるような部屋には、自作の魚の絵やポスター、釣竿が並び、彼の“魚愛”が伝わってきます。特に目を引いたのが、お魚デザインの蝶ネクタイ。「左ヒラメに右カレイ。ヒラメとカレイの見分け方が分かる蝶ネクタイなんです」とかわちゃん。ただ、海外では左を向いているカレイもいるそうで、「何が決定的に違うのかというと性格です」と続けます。
「ヒラメは上を泳いでいるアジなどをバクっと食べるワイルド系。一方でカレイは、砂の中にいるミミズみたいな“イソメ”を食べる。うどんを食べているような、おちょぼ口の大人しい系。実は色々違うよ、魚を知ると面白いよっていうのを蝶ネクタイで表しています」
早速、魚の世界の奥深さへと引き込んでくれました。
魚愛の原点は「玄関の巨大ナマズ」!?今も続く「ギョ縁」と「探求心」
1990年大阪生まれのかわちゃんは、テレビタレント、ラジオDJ、絵本作家、さらには魚の歌まで手がけています。魚の世界にハマったきっかけは、生まれた時からの環境だったそうです。
「父親が玄関に巨大なアマゾン原産の1メートルぐらいのナマズを飼っていたんです。幼い頃はそれをクジラの赤ちゃんだと信じ込まされていました」と笑います。
加えて、幼馴染みと川釣りや水族館通いを続けたことで、自然と魚好きに。その幼馴染が転校する際にくれた魚の図鑑を読み込むうちに、魚の多様な色や種類に魅了されて知識を深めていったそう。「今でもその幼馴染とは“ギョ縁”が続いてます」と、魚がつないだ友情を微笑ましく語ってくれました。
魚や海に関する知識は独学で学んだというかわちゃん。
「本を読んだり、フィールドワークで調べたりするだけでなく、それを誰かに伝えて『へぇー!』って言ってもらえるのが好きでした。みんなに魚を好きになってもらえるような知識をということで、本を読む以外にも、水族館の飼育員や漁師、魚類学者など、多くの人から直接教わることも多いです。魚の世界は日々情報が更新されるので、昔はワカサギがサケの仲間と言われていましたが、今は全く違う。学び続けないと分からないことばかり。だからこそ楽しいんです」
その探求心は、今も尽きることがありません。
「飛びすぎやねん!」 トビウオは新幹線並みに滑空!大人も笑える魚の雑学が満載
かわちゃんの絵本『おもしろすぎる!海の仲間たち ツッコミたくなるおさかな図鑑』は、魚の生態を4コマ漫画で紹介し、SNSで話題となって書籍化された人気作です。「大阪出身なので、オチをつけて話さないと聞いてもらえないっていう気持ちがあるんですかね」と笑うかわちゃん。ページをめくるたびに登場する魚への「ウォイ!」というツッコミが入り、子どもから大人まで夢中にさせます。
「例えば、『ジンベイザメって目に歯が生えているんかーい!』みたいな。ジンベイザメは人間の歯と同じエナメル質で覆われていて、ウロコなのですが、目の周りだけじゃなく、白目にも生えています。実はウロコが口の中に生えてきて、それが進化したのが歯。だからサメの歯は人間と違って1列ではなく、3、4、5列とあり、どんどん押し出されて生え変わっていくんです」
中でも一番ツッコミを入れたのは「トビウオ」だそう。20センチほどのトビウオが、なんと400メートルも滑空!新幹線でいうと、のぞみの1号車から16号車ぐらいまで飛ぶという話に驚きを隠せません。
「なぜ飛ぶかというと『おいしい』から。マグロやシイラから逃げるために飛ぶようになったんです。でも、飛びすぎた結果、今度は空中で鳥に食べられてるらしいんですよ。『飛びすぎやねん!ウォイ!』ってツッコミたくなるんです」
「シナぷしゅ」でも話題!かわちゃんが届ける魚の歌
活動はほかにも多々あり、子ども向け番組“シナぷしゅ”では、魚の歌を作詞作曲し、歌、アニメーションまで手がけています。
「例えば、“さんまのサンバ”という曲では『さんまのサンバ♪ さんまのサンバ♪ ちょうみじかい♪』という歌に乗せて、さんまが胃がないことがわかる。子どもたちが魚を好きになるきっかけになればと、クリエイティブな活動をしています」
また、全国の小学校や水族館でクイズショーやトークショーを開催。活動を通じて感じたのは、「その地域にたくさんいて美味しい魚を、子どもたちが知らない」こと。そんな中、子どもたちから届く手紙が大きな原動力になっているといいます。例えば、サバについてのお便りが届き、「かわちゃんから『サバの背中の波模様は、鳥に狙われた時に波に擬態して見えないようにしてる忍術なんだよ』と教えてもらってから、サバの味噌煮をめっちゃ食べるようになりました。サバの波模様を見たいから」と綴られていたそう。また、別のお母さんからは、潮干狩りで息子さんが貝と一緒にゴミを拾ってきたエピソードが。「えらいねと褒めたら子どもがキョトンとして『当然じゃない。かわちゃんが“スナメリ”というイルカや貝がいると教えてくれたから、ゴミがあったらかわいそうかなと思って』と。うちの子どもにそういった優しい想像力をプレゼントしてくれてありがとうございます」という感謝の手紙も届いたそうです。
こういった反響が、かわちゃんの活動の最大の原動力となっています。
「10代20代は、学校や社会になじめず、夢が叶わないなど、人生うまくいかないと感じることも多かったです。そんな時、ずっと海に行って釣りをしていました。海は、僕が大学を留年していようが、夢が叶わなかろうが、誰に対してもフェアなんです。みんなに優しくてみんなに厳しい、それにすごく救われました。僕が大好きな魚を子どもたちに伝えることが、あの時自分の人生を救ってくれた海に恩返しできるのかもと思ったら、すごく嬉しくて。それが本当に活動の一番のエネルギーになっています」
全国40館を紹介中!“さかなのおにいさん”が届ける水族館応援チャンネル
また、YouTubeチャンネル『さかなのおにいさん かわちゃんねる』では、全国の水族館を紹介しています。きっかけは、コロナ禍で休館を余儀なくされた香川県の“四国水族館”でした。
「休館中も生き物の世話は続きます。だからこそ、コロナが明けたら遊びに行ってほしいという想いで発信を始めました」
現在では全国40館近くの水族館を紹介。「水族館は自然への入口。地域の海の魅力を伝える存在として応援していきたい」と語ります。
温暖化・ゴミ問題で魚が消える!?未来の海を守るカギは“子どもの魚好き”
そういった楽しい活動の一方で、海の環境問題にも向き合っています。彼が住む関西では、イカナゴやタコなど、獲れる魚が減っている現状があると言います。
「2048年には、いま食べている魚の3分の1が獲れなくなるかもしれないという『2048年問題』が提唱されています。これは、温暖化によって魚の生息域が変わる、海洋資源の枯渇、そしてゴミ問題といった海洋汚染が原因です。大好きな釣り場がゴミ問題で閉鎖されています。そうなったら、魚が食べられなかったり、釣りができなかったり、身近に水族館がなかったら、『海を守ろう』と言われても、その先を想像できないと思うんです。だからこそ、僕は魚を子どもたちが好きになることが、この問題を改善する第一歩だと思っています」
キレイな魚と豊かな海のために──かわちゃんが人生を懸けて育てる“子どもたちの想像力”
最後に、かわちゃんが思い描く未来の海について尋ねました。
「このままだと、寂しい海になってしまうかもしれませんね。例えば、磯焼けで海藻がなくなってしまうかもしれません。でも、僕が目指したい海は優しい海です。豊かな魚たちがいて、美味しい魚もキレイな魚もいて、何よりその魚たちと一緒に遊ぶ子どもたちがいる。それを守っていくためには、子どもたちの優しい想像力を育てることが、僕が人生をかけてやりたいことです」

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