2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、Podcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回のゲストは、一般社団法人ALLIANCE FOR THE BLUE(アライアンス・フォー・ザ・ブルー)の代表理事・野村浩一(のむら こういち)さん。世界的な問題となっている海洋ごみをアップサイクルする取り組みについてお話を伺いました。
海洋ごみの6~7割を占める「漁具・漁網」
まずは、海洋ごみはどんな種類のごみが多いのか教えてくださいました。
「漁具・漁網が海洋ゴミの中でかなりの部分を占めています。環境省による調査だと、その割合は6~7割で、ブイや漁具といったものが多いと言われてます」
漁網をリサイクルして生まれ変わらせる!
そんな中、アライアンス・フォー・ザ・ブルーでは、漁網をリサイクルしているとおっしゃっています。
「使い終わった漁網は非常にリサイクル素材としては優秀なんです。そこで、今、漁師さんと回収してもらう会社に協力してもらい、細かく分けてもらって、それを洗って溶かして、また新たな資源にするというところを一生懸命行っています」
その漁網から素敵なバッグをつくるアップサイクルを実施しているとのこと。今回スタジオ収録時に、そのバッグを持ってきてくださいました。

軽い!機能性抜群!という現代に合わせたランドセル
そのバッグの中で、ピンク色のものはランドセル。ランドセルというと重いイメージもありますが、持ってみるととても軽いのだそう。
「我々が網を集めてつくっている素材のナイロンという生地には、丈夫で軽いという特性があります。ですので、ランドセルをつくるにはピッタリ。我々もこの網を使って色々な商品をつくりますが、ただ単に通常の石油由来の生地のものから置き換えるだけでは売れない訳です。それを克服するために、材料として魚網を使って環境にもいいのはもちろんですが、それをメインで言うよりは、『こんなに軽いですよ!綺麗ですよ!長持ちしますよ!しかも機能的ですよ!』というところで使いやすい機能を満載してあるんです」
実際にタブレット端末を直接入れられるようにするなど、メーカーとともにさまざまな工夫を凝らしたと教えてくださいました。
「紳士バックの一流ブランドのメーカーさんがつくられたので、そういう機能が満載されています。そのメーカーはランドセルをつくるのが初めてだったので、社員のお子さんたち一人ひとりに聞いたらしいんですよね。それで多かったのが、子どもは走るなど色々と動くじゃないですか。その時に教科書が中でガタガタすると困るであったり、バンドでちゃんと縛れるようにしたりしています。あと、登山のリュックサックなどに使われているチェストバンドもあると、走るときに安定します。そういうものを付けたりしているので、子どもたちにとって良いものになっていると」

環境に良いだけでは売れない
機能性を追求したり、オシャレであったり、そんなバッグにしている理由については
「いくら魚網をリサイクルして環境に良い商品だと言っても、品質が悪かったり、デザインがイマイチだったりすると、やっぱり買っていただけないじゃないか。機能的にもいいし、綺麗だし、お洒落だし、しかも素材は漁網でできていると最高と思われるわけです。そういう商品をつくっていきたい。そうすると、みんなハッピーになりますよね」
そのほかにも、「FUMIKODA」がつくるビジネストートバッグも持ってきてくださいました。
「パソコンも化粧ポーチもミニボトルなども入ります。でも、デザイン性を失いたくないというのが、FUMIKODAさんの特徴でもあります。こういうことでどんどん広げていく方が、はるかに量が増えていくなと思っていて、それをいま我々は狙って、色んな企業さんと協働しています」
商品のストーリーを知りたい!という消費者の要望に・・・
そういったバッグについて、お客さんからの反応や感想で印象的だったものについて伺いました。
「皆さんストーリーが知りたいとおっしゃっています。ストーリーというのは、この生地が漁網からできているが、なぜ漁網を使わなきゃいけないのかというところですね。冒頭にお話ししたように、放っておくと海のゴミになるかもしれないし、ちゃんと処理されたとしても埋めるか燃やすかというのはもったいない。それがこれだけ素敵な商品に使われてるんだというストーリーですよね。あと、各ブランドさんにお願いして、売り上げの一部を我々アライアンス・フォー・ザ・ブルーに寄付していただいています。その寄付していただいたお金は藻場再生に活用しています。いま日本でお魚がとれなくなってきているというのが、豊かな海を未来に残す意味での課題でもありますが、その一番の原因と言われているのが、お魚が卵を産んだり、魚が小さい時に隠れたりする“藻場”がどんどん減ってきていること。それを再生するモデルを一緒につくることを、我々も支援していまして。売上の一部を藻場再生に活用すると、2つの良い点がでてくる。ひとつは、商品がたくさんできてたくさん売れ、網が有効活用されるとゴミにならないということ。もうひとつは、売上が当然上がるので、その売り上げで藻場の再生場所をどんどん増やしていけると。今、藻場がなくなり再生しなくなってしまう磯焼けが問題になっていて、さまざまなところで色々な団体さんが植えていますが、1年で無くなってしまう。それをどう持続的に行えば、元の藻場の状態で持続するかを、いま鹿児島県の奄美大島の瀬戸内町で行っています。それがうまくいったら、モデルにして、いろいろな会社や団体にも紹介して、我々の活動を広げていきたいなと思っています」
実は商品のタグにも願いが込められている!
さまざまな思いが込められているアライアンス・フォー・ザ・ブルーの商品。その一つひとつにタグがついていて、そのデザインにも意図があるとおっしゃっています。
「『無限大』や『INFINITY』を意識してつくりました。右側に『FOR THE BLUE』、つまり『海のために』と書いていて、左側にはお魚が泳いでいて藻場があるんですよ。我々がちゃんと海のことを考えて生活すると、海の環境も良くなるしお魚も喜ぶと。結果、我々人間にとっても良いと。そういうことをまだ第1歩しか踏めていませんけれども、何かやっていきたいなと思って活動しています。そして、『そういう生地があるのだったら使ってみたい』、『そういう藻場再生の仕組みに寄付したい』という会社さんもいらっしゃいますので、そういう海のことを思っている企業さんを結びつける。また、もちろん生活者の皆さんとも一緒になって、この活動を盛り上げていきたいなと思っています」

次世代に豊かな海を残すために活動を続ける
最後に、野村さんに今後の夢や目標について伺いました。
「こういう商品をどんどん評価してもらって、どんどん売れるようになっていく。それによって網の回収量も進みます。海に囲まれた日本に住んでいる僕らとしては、この良い環境を次の世代にも残していく。そのためには、この活動を、魚がたくさんとれるきれいな海とその海をつくるキッカケにしていきたいなと思っています」






