サーファー・クイレイクリフス代表

久保田亮

2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、Podcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。

今回のゲストは、ハワイ・オアフ島のダイヤモンドヘッド周辺で環境活動を行っている「クイレイクリフス」の代表でサーファーの久保田亮(くぼた りょう)さん。ハワイ本来の自然をレストレーションする活動、そして、ハワイの海についてお話を伺いました。

実は「ダイヤモンドヘッドビーチパーク」は通称。本来の名前は・・・

まずは、「クイレイクリフス」の代表を務める久保田さんに、その気になる団体名の由来について教えていただきました。

「『クイレイクリフス』はその場所の名前なんです。『ダイヤモンドヘッドピーチパーク』は皆さん知っていると思いますが、それは通称で本当の名前は『クイレイクリフス』なんですよ。クイレイというのは、クイは『光』で、レイは『つなぐ』というハワイ語の意味で、『光をレイのようにつないでいく場所』という意味らしいんです」

レストレーション=再生させる・自然復活させる

立ち上げた団体で環境活動をされいらっしゃいますが、そのキッカケは何だったのでしょう?

「もともと日本にいた時から、地元のサーファー仲間とビーチクリーンを行っていました。ハワイに来てからは、ビーチクリーンをしている「サーフライダーファウンデーション」というボランティア団体で活動していました。そして、サーフライダーファウンデーションを卒業した仲間のうちのひとりが、ノースショアのカフクポイントという場所でレストレーション活動をしている団体に所属して活動を始めて。その彼らの活動を見て、ダイヤモンドヘッドでもできないかと思って始めたのがキッカケですね」

「レストレーション」という聞き慣れない言葉について、教えてくださいました。

「車のレストアは聞いたことがあるかもしれませんが、これは車を新しく復活させるという活動なんです。つまり、レストレーションは『再生させる』、『自然復活させる』という意味ですね。僕の活動は『エコロジカルレストレーション』と言いますが、『環境自体を自然再生させる』という活動です。人間の手を加えることで、再生をアシストしています」

ハワイの自然を取り戻す活動

久保田さんによるエコロジカルレストレーションは、具体的にどんなことを行っているのでしょう?

「ハワイは、外来種の生物たちが勢力を伸ばしている環境で、オアフ島も例外ではなくて、元々ハワイにはいなかった動植物がどんどん広がってしまって、ハワイ本来の自然が壊れてしまうという状態なんですよ。人間もその壊してしまう側だったのですが、反対側に立って、今度は自然の治癒力をアシストして、元々あったハワイの自然を取り戻そうよという活動ですね。ダイヤモンドヘッドは乾燥している地帯なんですが、そこに外来種の“キアヴェ”という木達がはびこり、雑草なども生え放題になってしまっていて。過去にマウイ島の“ラハイナ”という町が、山火事で燃えてしまったのですが、その原因になったのも、外来種の木や雑草が乾燥して火が移って、強風でどんどん町が燃えてしまったというものでした。ダイヤモンドヘッドも同じような状況下なんですよね。ですので、その外来種の木々や雑草を抜いて、元々ハワイにいた木たちを植えることで、いろんな人がダイヤモンドヘッドに訪れてくれて、景色を楽しんでもらうのが目標ですね」

自然が戻り、活動の輪が広がった!

そんな活動の中、思い出深いエピソードがあるそうで

「新型コロナウイルスによるパンデミックが一番大きいですね。僕もこんなに大きな活動になるとは思っていなくて、自分がサーフィンへ行く合間に、地道に雑草を引っこ抜いたり、木に水をあげたりしていたんです。ただ、パンデミックで人間の活動が停止した状態になると、自然がどんどん戻ってきて。ワイキキでは小魚たちがたくさん戻ってきましたし、それにつられて海鳥が飛び回っているという景色になって。また、時間もあったので、地元の皆さん達が『ちょっと手伝おうか』という形で活動の輪がどんどん広がっていきました。そこで、もっとできるよねということで、非営利団体として立ち上げて3年ぐらい活動しています」

レストレーションは海にも好影響

また、レストレーションは陸だけではなく、海にも好影響があるとおっしゃっています。

「雨が降ると、乾燥地帯で砂地なので、現状は土砂が海に流れ込んでしまいます。雑草も外来種の木も生えてはいますが、土をしっかり固めて海への流出を防ぐ効果はなくて。反対に、ハワイの木を植えたり、芝を植えたりすることで、その芝がグリーンのネットのような形で、海への土砂の流出を防いでくれます。また、雨水も土砂を通ることでキレイな水が海に流れていくので、海の生態系にもとても良いと思います」

ただ、ハワイの植物達は競争相手があまりいなかったため、成長がのんびりしているそうです。植物も「ハワイアンタイム」とおっしゃっています。

ボランティアは色々なことを学べる場

精力的に環境活動をされている久保田さん。一方で、日本では環境活動に対して、時に偽善やうさんくさいと言われてしまうこともあります。そこで、ハワイでの活動を通じて感じたこと、日本でも私達ができることについて伺いました。

「ボランティアは実際にやってみると、自分の時間を捧げて無料でやっていますというよりかは、自分の時間を使って行うことで色んなことを学べる場だと思うんですよ。さまざまな非営利団体、ボランティア団体がありますが、それぞれ目的があるので、気に入った団体に所属してみて、自分の時間や労力を捧げてみると、色んなものが自分に返ってくると思います。僕もクイレイの活動を始めることで、色んなことを学ばせてもらいました。ボランティアと言っても、自分が得るものがたくさんあると思いますので、挑戦してみてほしいです」

ハワイの海の魅力とは?

話題は変わって、サーファーでもある久保田さんに、ハワイの海の魅力について伺ってみると

「ハワイの海の魅力は美しさだと思います。ハワイは常夏のようですけど、四季がそれなりにありまして。分かるのは夏と冬なんですが、春や秋でも海がどんどん変化していて、とれる魚が違ったりします。また、冬になるとクジラが見れますし、そういった大自然もハワイの海の魅力だと思います」

ハワイの海の問題とは?

一方で、ハワイにも海の問題があるとおっしゃっています。

「ごみ問題、プラスチック問題は非常に大きい問題です。それと相まって『海岸侵食』もあります。砂浜がどんどん削れてしまって、海が近くになってしまっている問題が非常に大きいです。原因はわからないですが、気候変動も一因だと思います」

アメリカ政府の研究者たちと新たな環境活動に挑戦!

最後に、今後の目標について伺いました。

「もっとダイヤモンドヘッドをキレイにしていきたいです。ダイヤモンドヘッドには灯台があるのですが、あまり知られていないというか、外来種のキアヴェの雑木林に囲まれてしまって以前は見えなかったんですよ。今は灯台がだんだん見えるようになってきて、それをもっときれいに見えるようにしてあげたいなと。あと、ダイヤモンドヘッドの近くの“カハラ”という場所に、海鳥の繁殖地があるんですよ。そこでアメリカ政府の研究者たちが活動されているのですが、そこの方々から『ダイヤモンドヘッドに海鳥の繁殖地をつくってはどうか』というお話が最近ありまして、いま立ち上がろうとしています。ですので、そこにハワイ固有の海鳥や渡り鳥たちが戻ってきて、卵を産んでひなを育てるという自然を取り戻せたらすごくいいなと思っています。また、ダイヤモンドヘッドで見たものを日本でも再現してくれる、挑戦してみようという人が出てきたらとても嬉しいので、そういった活動の輪がどんどん世界中に広がっていくといいなと思っています」

アーカイブ

  • 「Know The Sea Special〜海と私のストーリー~」

    これまでの『know the sea』の歩みを振り返る特別番組

    「Know The Sea Special〜海と私のストーリー~」

    Special Program

  • 井植美奈子

    海の環境をおいしく守る「ブルーシーフードガイド」

    井植美奈子

    一般社団法人 セイラーズフォーザシー日本支局 理事長兼CEO

  • 畠山信

    「森づくりは、人づくり」かき漁師・畠山重篤さんの遺志を受け継ぎ未来へ

    畠山信

    牡蠣漁師、森は海の恋人 理事長

  • リサ・ステッグマイヤー

    ハワイの海が教えてくれること~オープン・ウォーターに魅せられて

    リサ・ステッグマイヤー

    タレント

  • 中村英孝

    日本初!「さかな」の専門学校で学ぶ若者たちの未来

    中村英孝

    日本さかな専門学校 学務課長

  • 村山司

    イルカの言語能力を探る旅

    村山司

    東海大学 海洋学部 海洋生物学科 教授