スポGOMI 創設者

馬見塚健一

2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、Podcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。

今回のゲストは、ソーシャルスポーツイニシアチブ代表・馬見塚健一(まみつか けんいち)さん。ごみ拾いとスポーツを融合させたスポGOMIについてお話を伺いました。

原点は日課のランニング。スポGOMIのはじまり

スポーツとごみ拾いを掛け合わせた競技「スポGOMI」。まずは、そもそもどういった経緯で誕生したのか教えていただきました。

「スポGOMIは2008年から活動をスタートしました。当時、私は横浜のみなとみらいのあたりに住んでいまして、もともとスポーツがすごい好きで、朝に日課のランニングをしていたんです。その時、街のごみにだんだんと気が付いてきて。そこで、自分が知るランニングルートだけでもキレイになれば、次の日に気持ちよく走れるなと。すぐに拾えばいいのですが、最初はちょっと恥ずかしさもありました。でも、ある日、1個拾ったら1個キレイになるなと吹っ切れて、まずペットボトル1個をランニングしながら拾ってみたんです。そうしたら、次のペットボトルはスピードを落とさないように拾ってみようとか、次のお弁当のごみは筋肉を意識してみようとか思い始めて、すごい楽しくなって。ある日、あんなに嫌悪感を持っていたごみが、僕の中でターゲットになっていったんです。それは恐らく、自分の中で何かしら拾う時のルールをつくったからだと気付きまして。だったら、既存のごみ拾いにもう少しルール化、スポーツ性をコンバインさせたら、あまりごみ拾いに興味のない人たちも、楽しく参加できるんじゃないかと思って、ルールをつくったのがスタートです」

子どもから高齢者まで誰でも競い合えるルール

そのルールはどういった内容なのでしょう?

「競技時間は60分。3人1組の大会もあれば、5人1組の大会もありますが、チーム戦です。競技エリアも決められていまして、そのエリア内でチームワークを発揮してごみを拾う。そして、ゴミの重量ではなくて、ポイントで競うというルールにしています。スポGOMIは一般的なスポーツと違って、小さいお子さんからご高齢者まで誰でも競い合えるルールをつくろうということで、ポイント制にしています。例えば、燃えるごみが100グラム10ポイントに対して、タバコの吸い殻は目線が低い小さいお子さんが頑張れるように100グラムで150ポイントとか。このポイント制で順位をつけるようにしています」

ほかにも、分別もできていないと減点となるそうです。

身近なごみから海洋ごみ問題を知るキッカケに

誰でも参加でき、優勝の可能性があるスポGOMI。競技にしたことで、どんな効果が生まれたか伺ってみると

「まず、あまりごみ拾いに興味のない、やったことがない、恥ずかしくて参加したことがないという人たちが、スポーツというキーワードで参加してくれています。いま海洋ごみが、世界でとても大きな問題になっていますが、学校で習っている海洋ごみ問題だと、恐らく自分たちの生活とつながっていないという人たちもたくさんいると思うんですよね。スポGOMIは実際にごみを拾う競技なので、自分たちが住んでいる地域のごみを目の当たりにすることによって、海洋ごみの問題が、自分たちのこういったごみや生活とつながっているんじゃないかと気づいてもらうきっかけになっていると思います。実際にそういう声もよく聞きます」

高校生ごみ拾いNO.1を決めるスポGOMI甲子園

スタートしてから15年以上が経った今、大きな広がりを見せていて、そのひとつが「スポGOMI甲子園」だとおっしゃっています。これはどんな大会なのでしょう?

「2008年からスポGOMIを始めていますが、当初は高校生の参加が非常に少なかったんですね。そこで、高校生に対して何かアプローチできないかと考えた時に、野球で言う甲子園のスポGOMI版をやろうということで、日本財団さんにご相談して、高校生だけが参加できる日本一を決める大会『スポGOMI甲子園』をやろうとなり、2019年から開催しています」

強豪校は「想像力」と「チームワーク」がすごい!

現在、各地域でスポGOMI甲子園2024の予選大会が開催中。野球の甲子園と同じように、強豪校がいるそうです。

「今年で6年目になりますが、過去2回優勝しているのが埼玉県の川口工業高校です。この学校には、“掃除部”という部活がある。そこの子たちは、やっぱり部活の名前が掃除部なので負けられないということで、毎回埼玉県の代表として全国大会に参加しています」

強いチームならではのテクニックなどはあるのでしょうか?

「スポGOMIは『チームワーク』と『想像力』のスポーツだと僕は考えていて、ダメなことですけど、人がもしごみを捨てるとしたら、どういうところに捨てるだろうという想像力。あとは、ごみの分別をしなくてはいけないので、チームワークが良いところは大体強豪ですし、上位に入賞しますね」

スポGOMIは、そんな参加した高校生に大きな影響も与えているようです。

「高校生は、ストレートに活動の主旨を理解してくれています。例えば、スポGOMI甲子園に神奈川県代表として出場した横浜のある高校の生徒は、スポGOMI甲子園の決勝が終わった後、学校の登下校でごみを1個ずつ拾うことを目標にしていました。もう彼は卒業したのですが、行動変容をすぐ起こしてくれるというのは、非常に嬉しく思っています」

スポGOMIが世界へ!ワールドカップ開催!

盛り上がりを見せるスポGOMIは、2023年にはワールドカップにも発展。その背景と経緯を伺ってみると

「海外のスポGOMIも2016年からスタートしました。海外は日本と同じぐらい、またはそれ以上に、ごみ拾いをスポーツにすることに対して面白がってくれる国々がたくさんあって。海洋ごみ問題は、やっぱり世界中の人達が一緒に解決していかないといけない、世界中の人達が一緒に手を取り合って何かアクションを起こさないといけない大きな問題なので、スポGOMIが海外でも通用するという肌感覚もあり、日本財団さんや他の企業さんのご協力をいただいて、去年ワールドカップを開催しました。20カ国で予選大会を行い、日本も合わせて21カ国で決勝大会を行い、イギリスが第1回大会の優勝となりました」

誰でも参加可能!近くで開催されているかも?

そんなスポGOMIに参加するにはどうすればいいのでしょう?

「スポGOMIのホームページもありますし、スポGOMIワールドカップ2025のホームページも立ち上がっていますので、ぜひ検索していただきたいです。皆さんが住んでいる最寄りのエリアで、開催されているかもしれませんので、ぜひご参加ください」

スポGOMI」、「スポGOMI甲子園」、「日本財団スポGOMIワールドカップ2025」と、それぞれにHPがありますので、興味がある方はご覧になってはいかがでしょう。

ゴールはスポGOMI自体が無くなること

最後に、スポGOMIが目指していることについて伺いました。

「まずはこのスポGOMIという日本で生まれた地球に最も優しいスポーツを、もっと世界に広げていきたいです。そのために、2030年までに50カ国という目標を立てています。ただ、ごみありきのスポーツなので、最終的にはこのスポGOMI自体が世の中から無くなるように、私たちは日々頑張っていきたいなと思っています」

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