2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、Podcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回のゲストは、NPO法人「宮古島 海の環境ネットワーク」の代表理事・春川淳(はるかわ じゅん)さんと事務局の春川京子(はるかわ きょうこ)さん。おふたりが「世界一」とおっしゃる宮古島の海、そして、エコツアーなどについて伺いました。
宮古島の魅力を掘り起こすために移住
春川淳さんと京子さんは夫婦で「セブンシーズ」というエコツアーショップを経営しながら、「宮古島 海の環境ネットワーク」の活動に取り組んでいらっしゃいます。また、「宮古島サスティナブルツーリズム連絡会」の事務局も務めていらっしゃるように、宮古島で精力的に活動されていますが、淳さんは静岡県出身、京子さんは東京都出身とのこと。どうして宮古島に移住しようと思ったのでしょう?
「東京で知り合い、結婚してから宮古島に来ました。移住したのは2007年ですが、その前にふたりで、海外のサンゴ礁に囲まれた島でガイドをしていた経験がありまして。その後、日本でガイドの仕事をしようかと考えていた時に、やはりサンゴ礁に囲まれた島がいいねということで、色々と見てみたんです。すると、宮古島は、ほかの比較的大きな沖縄の島と比べても、島の成り立ちがすごく独特で、自然の様子や文化にもユニークなものがありました。その当時はまだ宮古島があまりメジャーではなくて、海以外の魅力があまり知られていなかったので、自分たちで海だけではなく、陸の自然や文化の魅力を掘り起こして案内したいねということで、宮古島に移住することを決めました」
宮古島の海の色のキレイさは世界一!
実際に住んでみての感想を伺ってみると、淳さんは
「移住する前から、僕は何回も宮古島に来ていて気に入っていた島です。生まれが静岡県の清水市(現在の静岡市)なのですが、宮古島も清水と同じくカツオやマグロの漁が盛んな島なので、似たような空気感があって、とても居心地がいいですね」
また、「宮古ブルー」とも称される海について、京子さんは絶賛されていました。
「海の色のキレイさは、海外のいろいろなところに行きましたけれども、宮古島が一番だと思っています」
マングローブ観察にゴミの調査や清掃など多様な活動を行うNPO法人
そんな素晴らしい宮古島で、淳さんが代表理事、京子さんが事務局を務めるのが「宮古島 海の環境ネットワーク」。どんな活動をされているのか教えていただきました。
「NPO法人化したのが2012年2月で、宮古島の海の環境を守り、次の世代までこの海を残したいということで活動しています。その内容は、宮古島の小中学校などの子どもたちを中心に、また、修学旅行の生徒さん向けとして、マングローブの観察や漂着ごみの調査、そして、海ごみについて学ぶワークショップなどを、毎年10回以上実施しています。そのほかに、夏場を除く毎月1回、ごみの多い海岸を選んでボランティア海岸清掃を行っていて、その時は新聞やSNSなどを通じて、一般の方にも参加を呼びかけています」

あまり海に行かない地元の人にも広がりつつある活動
さまざまな活動をされている「宮古島 海の環境ネットワーク」での手応えを伺ってみると
「宮古島の海がキレイだということは有名なのですが、実はここで生まれ育った人たちはあまり海に行かないんですね。宮古島の魅力に気づいていない人も多いです。一方で、この豊かな海が、さまざまな原因で失われつつあるという現状もあります。知らない海を守りたいという気持ちにはならないと思うので、私たちはまず、子どもたちを中心に、この海で色々な体験をしてもらい、海のことを知ってもらって、それを通して自分たちの身近にある豊かな自然を守りたいと感じてもらえたらうれしいなと思っています。活動は12年ほどになりますが、最初はあまり知られていませんでした。けれども、今では会う人に『名前知っているよ』とか『新聞で見たよ』と声をかけてもらったり、学校からも『環境学習をして欲しい』という連絡があったりと、少しずつ広がっているなと感じています」
ツーリズムガイドラインを定める活動も
一方で、「宮古島サスティナブルツーリズム連絡会」の事務局も務めているおふたり。これはどんな活動をなさっているのでしょう?
「宮古島サスティナブルツーリズム連絡会では、宮古島市のツーリズムガイドラインを定めています。このガイドラインは、マリンレジャーの事業者向けがメインとなっています。ただ、マリンレジャーの事業者が勝手につくったルールではなく、また、行政が一方的につくったルールでもなく、沖縄県、宮古島市、警察、海上保安部、漁協、マリンレジャー団体といったところが協力してつくりました。それの運用を行っていて、ガイドラインを守っているお店を認証店として認定したり、定期的に連絡会の開催だったり、マリンレジャーの事業者への連絡体制の確立などの活動をしています」
具体的なガイドラインの内容についても教えてくださいました。
「沖縄県では、マリンレジャーを行う場合、条例で決まっている内容があります。その条例に含まれている内容に加えて、定められていない部分の『こういった備品を持っていきましょう』であったり、『人数比はこれぐらいにしましょう』であったり、『ごみを拾いましょう』といったことがルールとしてガイドラインに入っています」
3つのエコツアーも開催!
さらに、経営されている「セブンシーズ」では、エコツアーを開催。どんなツアーなのでしょう?
「いま行っているエコツアーは、陸域の自然や史跡を案内するツアー、カヤックを使ってマングローブ域を漕ぐマングローブカヤック、あとは同じくカヤックを使って海を漕ぐ体験シーカヤックという3つを開催しています」
シーカヤックだと、水面に近く、動力船と違って音がないため、自然の音が聞こえてくると教えてくださいました。そんなエコツアーにはリピーターも多いそうで
「自然観察がメインですので、お子さん連れの家族が多いです。その参加者が毎年帰ってきてくれて、シフトの関係で一緒に乗れないとなると『一緒に乗りたい』と言ってくれて、調整をしてくれたのがとても記憶に残っています。また、小さい頃から来てくれたお子さんと今年も一緒に乗りましたが、僕の身長を超えていたんですよ」
その宮古島のエコツアーの魅力については
「とても豊かな海、とても豊かな陸があり、固有種の生き物も多いですし、全国でも有数のサンゴ礁群があります。自然相手なので同じツアーというのはほぼありません。毎回何か新しい発見があります」

宮古島の海を愛するおふたりにとって海はどんな存在?
これまでお話されてきたように、宮古島の海にまつわる活動を多岐に渡ってされているおふたりに、海はどんな存在なのかと伺いました。まず、京子さんは
「海は、人間をはじめとして、生き物が生まれる場所だと思っています。もともと地球に私たちが生きていられるのも、海があるためではありますが、実際に海に入ると、いろんな生き物が卵を産んでいたり、稚魚がたくさんいたりするのを見ることができます。それだけではなく、海の近くに住んでいると、自分の体のリズムが海の満ち引きのリズムと合うといったことも感じるんですね。ですので、生き物はみんな、海から生まれているんじゃないかなと感じています」
そして、淳さんはというと
「お話した通り、僕は静岡県の清水というマグロとカツオの水揚げが多いところに生まれました。宮古島もマグロとカツオの水揚げが多い島で、とても豊かな恵みを与えてくれる場所だと思っています。ただ、最近よくニュースで見ますけど、海水温が変わってしまったことで、とれるものが変わってしまったり、とれなくなってしまったり、海水温が上がったことで大きな台風が通過するなど、海は陸の我々の生活にとても影響を与える場所です。だから、海は、今後の陸がどうなっていくのかを見るバロメーターになる場所なのではと思っています。ただ、怖い場所ではなく、行くととても楽しい場所ですので、ぜひこういった海を見ていただければいいなと思います」
魚介類にお肉、知られざる野菜もおいしい宮古島
淳さんからカツオやマグロのお話がありましたが、宮古島ではどんなおいしいものがあるのでしょう?
「宮古産のものが全国にそれほど多くは出回っていないので、知られてはいないのですが、宮古で育った野菜はとってもおいしいです。あとは、お肉は沖縄全体で豚や鶏などを食べていますが、そういったものもおいしいですね。また、宮古はカツオの出汁を取るんですけれども、それを使った料理なんかもとってもおいしいです」
海を守るためにはまず知って欲しい
最後に、大切な海を守っていくために、おふたりが今後どんなことをしていきたいのかを伺いました。まず、京子さんは
「個人でできることは限られてはいますが、今まで通り地道に、未来を担う子どもたちに色んな海のこと、自然のことを伝えていきたいと思っています」
そして、淳さんは 「お話したように、ガイドラインをつくっていますが、観光の方向けもつくっています。その活動で思うのは、色々と海に悪い影響を与える行動というのがありますが、わざとやっている方はほとんどいないと思うんですよね。知らずに無意識でやってしまっていることが多いので、まずは海のことを知っていただくということが一番だと思っています。そのために、学校へ出前授業に行ったり、観光で来られた方向けにツアーを提供したりしていますので、海に行ってもらい、海を知っていただくということを続けていきたいと思っています」







