2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、Podcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回のゲストは、「海のお仕事体験プロジェクト」のお仕事体験プロデューサー・上野祐一朗(うえの ゆういちろう)さん。今まで実施したのは100種類以上にもなるという海のお仕事体験、そして、その体験を通して起こる子ども達の変化についてお話を伺いました。

海の現場で体験するお仕事
まずは「海のお仕事体験プロジェクト」は、どんな内容なのかについて教えていただきました。 「プロジェクト名の通りで、子どもたちが海の仕事を体験する上で、本当の仕事現場で本当の仕事人から本当の仕事を学ぶことをテーマにしています。
会議室とかではなくて、例えば、漁師さんの現場であったり、コンテナターミナルの中に入ってであったり、普段は入れないような場所で、その仕事人の熱気や緊張感をビシビシ感じながら、子どもたちに体験してもらっています」
親子向けの情報サイトから拡大したプロジェクト
その海のお仕事体験プロジェクトを始めたキッカケは何だったのでしょう?
「もともと弊社は、“いこーよ”という親子向けの情報サイトを運営しています。お出かけ情報を発信することから、子どもたちに色々な場所に行ってもらいたいというサイトを運営している中で、“海に行こーよ”や日本財団さんと一緒に海の情報を発信する活動するの傍ら、情報発信だけではなくて、体験もしてもらいたいと思うようになりました。もともと弊社では『6歳になったら机を作ろう!』という林業の仕事体験プロジェクトも行っていたので、それを海の仕事をテーマにしたプロジェクトで展開してみたいというところから立ち上がりました」
コンテナターミナルでの物流、ゲノム研究など多彩なお仕事体験
そんなプロジェクトを立ち上げた上野さんですが、実はもともと海が苦手だったとおっしゃっています。
「このプロジェクトが始まる5年前、30歳ぐらいの頃は、海が苦手で、魚もなかなか食べれなかったんですよ。だから、プロジェクト当初は海の仕事は漁師さんぐらいかなと思っていて、これだけ生活に海に関わっているのを知らなくて。プロジェクトをやってみたら自分でも結構なカルチャーショックでした」
上野さん自身も驚いたという生活に密接に関わる海の仕事。プロジェクトではどんな仕事が体験できるのでしょう?
「コンテナターミナルのお仕事体験では、静岡県の清水港で、食べ物や服などが運ばれてくる物流の玄関口でのお仕事を体験してもらいました。あとは、サクラエビを研究している研究所と一緒に、サクラエビのゲノム研究といった水産資源を守るための体験を行ったりしています。わかりやすい水族館や漁師から紐解いていったり、生活に関わっている仕事であったり、それを支えるものであったり、そういったものを多岐にわたって100種類以上 展開していますね」
プロジェクトを展開していく中で、上野さんもガラリと変わって海が大好きに。今では、ダイビングのライセンスを取得したり、毎月釣りに行ったり、さらには、自分で魚をさばけるようにまでなったとのことです。また、5歳と3歳の息子さんと娘さんと一緒に、江の島の海へ行ったりもしているそう。「子どもたちもそうなんですけど、海に関わると、深く入り込んでしまうという海の素敵な側面を知りました」とおっしゃる上野さん。その海を好きという気持ちがプロジェクトにも生かされていると教えてくださいました。

子どもたちが人間として成長する場にもなっている
お仕事体験はほかにも、陸上養殖であったり、水中ドローンで漁師と一緒に磯焼けを調査したりする仕事があるそうです。その際、ただの体験で終わらせないとおっしゃっています。
「海中で藻場がなくなる『磯焼け』という問題が起こっていますが、水中ドローンでの調査では、岸壁から操作して終わりではなく、実際に調査に行く。船に乗って現場まで行き、ドローンを自分で操縦して『ここに藻場がない。どうしてだろう』というのを一緒に考える。現場に入って、五感を使っての体験は記憶に残りやすいです。だから、体験する以外に、子どもたちが人間的に成長してくれる場になっているんだなとも感じています。お仕事体験に来る子どもたちは、色んな知識を持っている子が多いんですよ。魚の知識が豊富とか。でも、それを共有する友達だったり、自分から知識を発表する場であったりが少ないと思っていて。こういうお仕事体験で、共通の好きなことがある子どもが集まると、みんなで刺激し合う。しかも、仕事はひとりじゃできないので、チームでやろうよとなってくると、自然と会話も増えてきます。たった3時間の体験なんですけど、成長したなと思うことはいっぱいありますね」
見守っていると勝手な親心が生まれてくるそうですよ。
リピーター続出!色々な体験をする子どもが増えている
参加するのは、どんな子どもが多いのでしょう?
「体感的に3~4割ぐらいがリピートです。このプロジェクトは5年目になりますが、毎年どんどん種類が増えていて、今年は60種類ぐらいの体験があります。漁師体験に参加した子どもが、もっと裏側の仕事をしてみたいということで、干物をつくる会社へ体験に行ったり、物流会社に行ったりと、多岐に渡ってお仕事を体験してくれる子どもたちが増えてきました。このお仕事体験で大事にしていて、テーマにしているのが、『多面的』です。多くの海の仕事がある中で、子どもたちには小さい頃から多面的な海に触れてほしいなと思っていて、色んな可能性の扉を開いてほしいなと考え、毎年いろんな種類の仕事を用意しています」
受け入れる企業・団体も前のめりになっていく!
子どもたちがリピートする一方で、体験先となる企業・団体も、一度実施すると積極的になるとおっしゃっています。
「初回は、子どもの受け入れは大変そう、普段やったことがないからちょっと面倒くさいという方が多いのですが、一回やると皆さん2年目も継続されることが多くて。普段は一般の子どもたちと触れ合うことが少ない仕事も多いので、自分の仕事をキラキラした子どもたちが質問してくれたり、楽しいと言ってくれたりすると、『こんな喜びないよね』と受け入れてくれる事業さんが多くて、2年目になると『もっとこういうことできるよ』とか『もっとこういうことさせない』とか提案してくれて、2、3年目に体験の質が上がっていく。参加者も2回目に来たら違う内容を体験できるのは嬉しいでしょう。受け入れ先の皆さんが、自分の仕事に誇りを持ってもらえる、これをキッカケにもしかしたら自分の仕事を支えてくれる子がいるかもしれないという希望を持ってもらえる、そんな風に取り組まれているのは、非常に嬉しいですね」
いつかどこかで海のお仕事体験から何かが花開いてくれたら
最後に、改めて海のお仕事体験プロジェクトへの想いについて伺いました。
「このプロジェクトに参加している子どもたちを見ていると、海の知識をインプットしている子達がアウトプットできる場所となっていると思います。海のお仕事体験を通して、小さい頃から海のいろんな面に触れてもらう、そして、いつかまたどこかで種が花開いてくれたらいいなと思っています」
10月以降も面白い体験を予定しているとのことですので、興味のある方はWEBで「こどもわーく」と、ぜひ検索してみてください。






