2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、Podcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回のゲストは、「海藻おしば協会」の事務局長で、スキューバダイビングのインストラクター・高山優美(たかやま まさみ)さん。海藻おしばの魅力、そして、海藻の重要性や海中の変化についてお話を伺いました。
海藻がアートに!海藻の魅力とは!?
“海藻おしば”は、押し花のようにつくる海藻アート。「海藻は“葉っぱ”なので“海藻おしば”」と教えてくださった高山さんに、まずは、海藻の魅力について伺いました。
「普段食べる時は姿や形を変えますが、海にいる時はとても優雅な動きをしていたり、色もカラフルなものがあったりするほか、形自体も面白いんですよね。また、季節によって色を変えていく種類もあるので、そこもまた魅力的ですね」

海藻おしばはどうやってつくる?
そんな海藻は、日本には1,500種類もあるそうです。その中で、高山さんは、海藻おしばに使う海藻を100種類ほどお持ちとのこと。一体どうやって集めるのでしょう?
「海藻おしば協会では、貝殻を海辺で拾うみたいに『海藻拾い』をするんです。浜辺に打ち上がったものを利用して海藻おしばをつくります」
ビーチクリーンにもつながり、「一石何鳥にもなりますね」とおっしゃっています。続いて、拾った海藻をどうやって“海藻おしば”にするのかを教えていただきました。
「まずは、真水につけて“塩抜き”をします。水の中に入れると溶けてしまう種類もありますし、アクが出るものもあるので丁寧に処理をします。その時に、ゴミや生き物などが付いている場合もあるので、それもキレイにします。その後、柔らかいところをカットしたりしながら、水の中に台紙となる紙を濡らして、その水の上で海藻を広げていきます。ただ、そのままだとグチャグチャッとなってしまうので、重しをのせて乾燥。2~3日すると重しのおかげで押されます。そして、水分も抜けていくので、おしばになっていきます」
高山さんは違う種類の海藻を組み合わせて、ブーケのような“海藻おしば”もつくっていますが、その時も、細かい海藻は水の中で作業。その後は、下敷きなどの平らなものの上で、手を水で濡らしながら広げていくそうです。




各所でワークショップを開催!その際に必ず伝える「海の環境」
素敵な海藻おしばをつくる高山さん。海藻おしばとの出会いは、伊豆高原に職場があった際に、海藻おしば協会の現・名誉会長の野田三千代(のだ みちよ)さんという先生が、海藻おしば教室を開いていて、そこに参加したり、お手伝いをしたりしながら魅力を知っていったとおっしゃっています。そして、現在は海藻おしば協会の事務局長を務めてらっしゃる高山さんですが、夏の時期は忙しかったと振り返ってらっしゃいます。
「自由研究の課題にとても人気なので、夏休みの時期はすごく忙しかったです。認定講師がいますので、色んなところでワークショップを行いました。このワークショップは、ただのモノづくりではなくて、『海の環境を知ってもらうためのお話』をさせていただいてから、海藻おしばづくりをするのがモットーです」
「海の環境を知ってもらうためのお話」とは、一体どんな内容なのでしょう?
「例えば、海の森についてです。海の中には森があるということを、知らない人もたくさんいまして。この海の森がなくなると生き物も困ってしまう。もちろん私たちの命にもつながっているので、そのことについて、子どもから大人まで分かりやすいような形で、海の森のメッセージを伝えていますね。また、海の森は、山の森と川を通してつながっていまして、陸の栄養があるから、海も生き生きしてきます。海藻は太陽の光がごはんで光合成をしますが、陸が壊れたり、川が汚れたりすると、海が汚れたり、濁ったりしてしまい、海藻自体が二酸化炭素を吸収して酸素をつくってくれるのに、その力がなくなっちゃうんですよね。ですので、海を汚さないでねというメッセージとともに、私たちが海藻からのメッセージを皆さんに伝えるという活動をしています」
ワークショップの参加者からは好評で、「こんなに海藻がきれいだなんて思っていなかった」、「ワカメとか昆布とか地味なものばかりしか知らなかった」、「海藻が重要な役割をしていたんだと初めて聞いた」といった声を頂いているそうですよ。


ダイビング歴は25年。前職の看護師がキッカケ
海藻おしば協会の事務局長を務める一方で、ダイビングのインストラクターもされてらっしゃいます。そのキッカケについて伺うと
「看護師として社会人になった時、先輩に趣味は持った方がいいと教えてもらい、先輩と一緒にダイビングをしたいなと思って、ライセンスを取得したのがキッカケですね。1cmとか人より小さな命が、とても元気に過ごしているという姿を見た時にとても感動して、休みの度に海に通っていました。すると次第に、この楽しさを色んな人に伝えたいなと思い、看護師は辞めて、ダイビングインストラクターになりました。25年ほど続けていますが、まだまだ見たことがない生物がたくさんいる。この生き物たちを守るには、やっぱり人が自然環境に対してもっと意識を持って守っていかなきゃいけないんだなと思っています」
いたはずの魚がいない・・・。海の変化に不安を感じる
海藻おしば協会、そして、ダイビングのインストラクターとして長年海を見てきた高山さんは、どんな海の変化を感じているのでしょう?
「伊豆の冬の海には、“ダンゴウオ”という1cmほどのかわいい魚がいるんです。最初に見つけた時は、“アントクメ”という海藻をめくるといました。けれども、そのアントクメという海藻自体が見られなくなってしまって。それと同時に、そのダンゴウオも観察できなくなってしまったんですね。見られなくなったのがここ最近の5~6年なので、この海の変化に不安を感じる時がありますね」
見られなくなってしまった原因について伺ってみると
「温暖化の影響もあると勉強会などで教わったりします。海藻は水温が低い冬場に、ぐーんと伸びていきますが、その水温自体も、20年ほど前より5℃ぐらいは高くなっている。冬場は水温が14℃ぐらいだったはずが、最近は16℃くらいになっていて。潜っても『寒くてちょっと凍える』という思いをあまりしなくなってきたんですよね。こんなにあたたかくて大丈夫なのかなと思ってしまう時があります」
もっと関心を持ってもらえるように活動していきたい!
最後に、今後はどのように海と関わっていきたいかについて伺いました。
「これまでも継続的に海を見てきたので、このままできる限り海の中を覗いたり、まだまだ知らない人に発信をしたりしていきたいです。それに加えて、普及啓発として、環境学習としての海藻おしば教室を行いたい。そして、展示も実施して、『わあ綺麗!なんだろうこれ?』という発見から少しでも興味を持ってもらい、無関心な方にも関心を持ってもらえるような関わりをしていきたいなと思っています」
海藻おしばのワークショップや展示会は、「海藻おしば協会」のHPでお知らせしているそうです。ぜひご覧ください。






