2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、Podcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回のゲストは、一般社団法人「日本昔ばなし協会」の代表理事・沼田心之介(ぬまた しんのすけ)さん。海の民話とアニメ化についてお話を伺いました。

「まんが日本昔ばなし」のスタッフが制作する海の民話
沼田さんは、民話をアニメ化して子ども達に届け続けていらっしゃいます。民話に携わったキッカケは何だったのでしょう?
「もともと父が、アニメの『まんが日本昔ばなし』を制作している会社にいました。そのつながりもあって、2012年から『ふるさと再生 日本の昔ばなし』というアニメ番組を放送させてもらっており、そこで音響監督という仕事をしていました。最終的にはアニメ監督も務めまして、2018年に日本財団による『海ノ民話のまちプロジェクト』からお話がありまして、それが携わるキッカケになりました」
民話のアニメ化は、『まんが日本昔ばなし』を担当していたアニメーターとも行っていて、70代80代の方が元気に今もつくり続けているそうです。
貴重な日本の財産である民話がなくならないように
民話に携わるようになって、民話ならではの危機に気づいたと教えてくださいました。
「地方に行くと、例えば、民話は書籍にまとまっているものがありますが、その多くは地元の郷土史家さんが回って集めて、冊子のようにした状態で図書館にあります。すると、人口減少で町が合併するとなり、図書館がなくなったりすると、書籍が処分されて民話がなくなってしまうこともあります。また、民話は“口伝”といって口で伝えられてきたものなので、それがなくなってしまうと民話もなくなってしまうという。そういった危機にさらされているなと感じました」
そういったことを防ぐために、アニメ化をして残しているのだそうです。
自分のまちの海の民話は興味を持つ!
そんな民話を後世に残すため、沼田さん達がアニメづくりを行っている「海ノ民話のまちプロジェクト」。そもそもどういった経緯で立ち上げれたプロジェクトなのでしょう?
「子どもの“海離れ”が叫ばれている中、海に関するアンケートを取ったところ、『怖い』とか『汚い』とか負のイメージが子ども達の中で多かったんです。そこで、アニメはやっぱり子ども達にとって大きなもので、さらにはその町に伝わる民話ということで、自分たちの町であれば興味を持って見てくれるんじゃないかと立ち上げられたのが、海ノ民話のまちプロジェクトです」
「海ノ民話のまちプロジェクト」では、YouTubeチャンネルでアニメ化した全ての海の民話を無料で視聴できます。このアニメを通して、沼田さんが伝えたいことについて伺いました。
「『自分の町にこんな話があるのか』と思うはずなので、大人も子どももたくさん見て欲しいです。日本は海に囲まれていて、危険な部分もありますが、『正しく恐れる』と言いますか、海から恵みもいただいていますので、海のさまざまな部分を知ってもらって、関心を持ってもらえるといいなと思っています」
アニメ化がゴールではなく、活用を推進
プロジェクトでは、アニメ化だけではなく、さまざまな取り組みも行っていると教えてくださいました。
「アニメ化したら終わりではなくて、むしろ出来てからがスタートといいますか、そのアニメを活用して町の活性につなげるように取り組んでいます。まずは完成した後に、町のいろんな施設を使って上映会を開催し、町の人達に観てもらっています。さらに、子ども達には、民話の舞台となった場所を訪れるフィールドワークを行ったりもしています。そのほかにも、このアニメーションを自由に使ってくださいとしていまして。通常アニメは権利関係が難しいのですが、地元の人が海洋教育を推進するために使うのであれば、自由に何でも使ってくださいとしています。その結果、キャラクターを使ったクッキーとかお土産とか、さまざまなものとコラボしています」
今後も増える海の民話のアニメーション
現在、公式YouTubeにアップされている海の民話は67本(※2024年8月25日の時点)。今後もどんどん増やしていくとおっしゃっています。
「今年度も25本、25の地域のアニメーションをつくっていますので、来年の頭には92本が観られるようになります」
ちなみに、自分の地域の民話をアニメ化して欲しいとお願いしたら、つくってもらえるのでしょうか?
「アニメ化する民話は選考しています。ただ、事務局にそういったお話をいただければ、検討することになると思うので、そのままつくるかどうかはわかりませんが、地域に民話があって、その中に海の学びがしっかり入っていればアニメ化することもあると思います」
地域の人達と一緒に海の民話を世界に発信していきたい
最後に、今後はどんな想いを持って活動していくのかについて伺いました。
「江ノ島の近くが地元なので、僕は子どもの頃から海に接していて海が大好きです。ただ、このまま対策をしないとお寿司が食べられなくなるという予想もあったりしますので、そういったことがないように、海に興味を持って欲しいです。そして、アニメになっている海の民話はわかりやすいと思いますので、日本全国、もっと言うと世界にまで広げていきたい。そして、地元の皆さんもどんどん発信していただけるとありがたいなと思います」






