株式会社アスロニア代表

白戸太朗

2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、Podcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。

今回のゲストは、トライアスロンの選手、そしてホノルルトライアスロンの主催者でいらっしゃいます株式会社アスロニア代表の白戸太朗(しらと たろう)さん。自然の環境下で行うトライアスロン、そして、ホノルルの海について伺いました。

ホノルルマラソンをヒントに始めたホノルルトライアスロン

白戸さんが主催する「ホノルルトライアスロン」は、今年20周年の記念大会だったそう。そもそもこの大会を始めたキッカケは何だったのでしょう?

「私はトライアスロンをプロでずっとやっていまして、どうやったらトライアスロンを世の中に広めていけるかと考えた中で、やっぱりマラソンをされている方は“ホノルルマラソン”を知っているじゃないですか。ホノルルマラソンだったら走ってもいいよという方が、昔からたくさんいらっしゃって。そこで、そういう文化をトライアスロンでもつくろうということで、ホノルルでトライアスロンをやって、みんなが来たいという大会をつくれば、もしかしたらトライアスロンも広がるのではないかというところから始めたんです」

ファーストバイトはおいしい方がいい!だからホノルルで

ホノルルがランナーやトライアスロン競技者を惹きつける理由は何なのでしょう?

「僕は昔からハワイで合宿をしたり、レースに出場したりすることも多かったのですが、やっぱりホノルルの空気感、風とか気候とかがスポーツするのに本当に最高です!本来トライアスロンはこういうところでやるんじゃないのとなりまして。だからこそ、トライアスロンを楽しんでもらえるのではないかと。もちろんトライアスロンは色んなところでできますが、やっぱりイイところでやらないと。ファーストバイトはおいしい方がいいですし、最初はおいしいものを食べていただきたいので、我々はやっぱりホノルルが最高だろうと考えたんですね」

そんなホノルルトライアスロンには、日本からも数多くの人が参加するそうで、「大会の参加者は1,500人から2,000人ぐらいですが、半分から少なくとも2~300人は日本からいらっしゃいます」と教えてくださいました。ちなみに、日本からの参加者の半分ぐらいが初めての方だそう。

砂浜が減少しているハワイ

トライアスロンといえば、マラソン、自転車、水泳の 3種目を続けて行う競技。水泳ではホノルルの海を泳ぎますが、この20年でホノルルの海に変化があったかどうかを伺ってみると

「海自体は大きな変化はないと思います。ただ、ハワイで感じるのは、海面上昇で砂浜が減っているということです。ワイキキにあるホテルの『ロイヤルハワイアン』の裏ぐらいはビーチがどんどん減ってるんですよ。定期的に砂は入れてるんですけども、流れの問題で砂が持っていかれちゃって。今ハワイ全体でビーチが減っているという状況です。あとは、気候では今、乾燥注意報がたくさん出ていて山火事が多いですね。マウイの火事もありましたけども。そういった意味で確実に以前とは違うなと感じています」

一方で、特別な変化は感じないという海については、やはり最高だとおっしゃっています。

「やっぱり海はいいですよ。ハワイのいいところは、少し沖に出ると、本当に自然のままの海が残っていること。観光で行かれるとビーチ沿いの海しか行かないと思いますが、そこからもう500メートル外に出ると、そこはもう全く世界が違っていて、大自然を感じることができるんですよ。その海でいつも泳いでいて思うのは、やっぱり人間って小さいな、僕らはこの大自然の中に生かされてるんだなと。我々なんて海の上に浮かぶ木の葉みたいなものですから、ピッと飛ばされますよ。だからこそ、上手に付き合って、上手に遊んでもらわないといけないんだなとすごく感じています」

海を守る意識を育むには「使う」ことが大事

そんな海を守るために、白戸さんが行っていることについて伺いました。

「世界中の海で泳いできましたけれども、やっぱり海は使ってこそ大事さが分かります。山でもそうなんですけど、見ているだけ、キレイにして触ってはいけないという環境保全だと非常に難しい。自分達の庭は絶対汚さないことと同じで、自分達が使ってこそ、そこをきれいにしようとか、大事にしようという気持ちが湧いてくるんです。だからこそ、我々は海で泳ぐ、海で遊ぶことによって、海を大事にすることを学ぶということをやっていますし、これからもそういう活動をやっていきたいと思っています」

自然を克服ではなく、自然の中にいる

外のフィールドで行うトライアスロンをしていると、やはり自然の偉大さを感じるそうです。

「スポーツをしながら、環境によって自然がものすごく変化する。例えば、同じ海でも風や流れが少し変わるともう違います。そういったものは、自分達でコントロールできないので、自然の偉大さみたいものを感じますね。例えば、オリンピックの競技でもありますが、ハコもの、いわゆる屋内のスポーツは環境が変わらないじゃないですか。僕らは本当に毎日環境が違うので、その環境を改めて受けとめると、人間は自然の中で生かされてるんだなと感じる。僕らが自然を克服するんじゃなくて、自然の中にいるんだというのを感じさせられるし、トライアスロンに参加した皆さんも感じざるを得ないみたいですよ」

ちなみに、初心者の方に向けて白戸さんがおっしゃったのは「よく初心者の方は一生懸命に克服しようとするんですけど、克服じゃなく、うまく海と調和するみたいな感覚がすごく大事」。そのためには、力を抜くと良いとのことで、調和できると海は優しいそうですよ。

泳いでいるのか飛んでいるのか。ロタ島のグランブルーの海

そんな世界の海を知る白戸さんに最も印象的だった海について伺いました。

「僕が今まで泳いできた海の中で、一番印象に残っているのは、ロタ島の海ですね。サイパンとグアムの間ぐらいにある人口が数千人しかいないような島です。ですから、周りに人がいないということもあって、言い方が悪いですけど、気持ち悪いぐらい青いんです。もちろん、海の色だから光とか海底によって変わりますけど、底がたまたま砂だったりすると、正にグランブルーの世界!自分が今、海の上を泳いでいるのか、それとも空を飛んでるのかがよくわからなくなるほど。高所恐怖症の人は怖いと言うんですよ。ただ、ここの海を感じると、『もしかしたら世界の海は昔こんな海ばかりだったのかな』とか思うこともあり、ちょっと色々と考えさせられますけど」

「海を守る」はどこか限定した地域でなく、つながっている世界中の問題

ロタの海の素晴らしさを語って頂きましたが、そういった海を守るには世界全体で取り組む必要があるとおっしゃっています。

「やっぱり海は全て繋がっているので。今日ハワイの話をしていますが、ハワイは環境に対して州も色んな条例をつくって守っています。でも、ハワイの海は日本の海とつながっていますので、結局日本が今までと同じようなやり方をしていると、ハワイの海もキレイにならない。だから、ひとつの地域の問題ではなくて、世界中の問題だとすごく感じますよね」

トライアスロンを通じて知って欲しい自然との付き合い方

最後に、白戸さんに夢について伺いました。

「私自身はトライアスロンなどのスポーツで、人の幸せをつくってくいきたいという思いがあります。だから、これからもそういう活動をしていきたい。その中で、やっぱり自然の中にいる時に感じられるものがすごくたくさんあると思うんですよ。これから都会の生活はますます便利になっていくでしょう。でも、だからこそ、自分の身体と自然だけで感じる時間みたいなものが大事だと思っています。トライアスロンは典型的なそんな機会なので、お子様から年配の方までそういった機会をたくさんつくっていって、自然と人間の付き合い方みたいなものをうまく伝えられるといいなと思っています」

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