2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、Podcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回のゲストは、「大村湾ワンダーベイプロジェクト」のプロデューサー・高田雄生(たかだ ゆうき)さん。長崎県の大村湾で行っている海を守るワンダーな活動についてお話を伺いました。

大村湾ってどんな海?
長崎県本土の真ん中に位置する「大村湾」。ここでお仕事をされている高田さんに、まずは大村湾がどんな海かについて伺いました。
「サイズはだいたい琵琶湖の半分ほど。『超閉鎖性海域』と呼ばれていて、湾の中の佐世保のあたりでわずかに外側の海とつながっているという珍しい海です。波が穏やかで資源も豊富という特徴があって、あとは、対岸がどこに行っても見えます」
素晴らしい特徴を持つ一方で、その超閉鎖性海域だからこその問題があるそうです。
「外側の海から影響を受けにくいので、地域に住んでいる方々の生活環境が強く影響します。例えば、ごみの問題だと、海外からゴミはあまり流れて来ないです。ということは、大村湾に流れ出ているゴミというのは、地域に住んでいる方々の町から出たゴミなので、そういったことが問題になっています。そのゴミで多いのは、ペットボトル、ビニール袋といったプラスチック製品という印象です」
そのプラスチックごみについて、「分解に400年以上の年月がかかるそう。さらに、海に沈んでしまうと、光があたらず、微生物もいなくて、酸素もないということで、400年でも分解されないかもしれないと言われています」とも教えてくださいました。
世界初だという「海藻School」を学校で実施
さまざまな特徴を持つ大村湾を、「楽しくて素晴らしい海にしていきたい」という思いから立ち上がったという「大村湾ワンダーベイプロジェクト」。閉鎖性海域がゆえに地域の生活環境が大きく影響するため、住民の方々・企業・自治体が、大村湾を守っていこうという同じ気持ちを持ってワンチームで取り組んでいるそうで、高田さんもプロジェクト名にもなっている「ワンダー」という思いを持って活動しているとのことです。具体的にはどんな活動をしているのか伺ってみると
「例えば、“海藻School”というプログラムが進行中で、これは1年間をかけて小学校の校内で海藻を養殖するというものです。このプログラムは、私が調べた限りでは世界初です。内容としては、ただ海藻を育てていくだけではなくて、その過程で、磯焼けという海藻(草)が減ってしまう問題が起きていること、海藻は環境を守らないとすぐに死んでしまうということも学んでもらう。そして、最後に育てた海藻を海に帰すことで、海を守るために私たちに何ができるのだろうということを子どもたちに考えてもらうというプログラムです」

スウェーデン発祥の「ジョギングしながらごみ拾い」
海藻Schoolのほかにも、「オオムラプロギング」というイベントも行っているそう。どんなイベントなのでしょう?
「プロギングは、スウェーデン語の『PlockaUp』という拾い上げるを意味する言葉と、英語の『ジョギング』を掛け合わせたスウェーデン発祥のスポーツで、ジョギングしながらゴミ拾いをしていく活動です。ジョギングをすることで汗をかいてスッキリ!街がきれいになってスッキリ!というスッキリの掛け合わせのイベントを大村市で実施しました」
長崎県に移住して始めたプロジェクト
海藻Schoolやオオムラプロギングなど、色々な活動をしている大村湾ワンダーベイプロジェクトは、20人以上が関わっているそう。そのメンバーは地元のテレビ局、水中ダイバーなどさまざまで、海が好きで大村湾を守りたいという熱い気持ちを持っているとのことです。そんな皆さんをリーダーとして引っ張っている高田さんが、そもそもプロジェクトを始めようと思ったキッカケは何だったのでしょう?
「もともと日本財団 海と日本プロジェクトでお仕事をしていまして、2023年度のタイミングで日本財団さんからお声がけがあったのがキッカケです。大村湾は5つの市と5つの町があって『5市5町』と呼んでいますが、そういった自治体から取り組むのではなく、外部からの人が自治体や住民などを取りまとめてワンチームでやる必要がある、それを実行できる人が必要なんだということで、お声がけがありまして、ぜひやりたいと思い、長崎県には縁もゆかりもなかったのですが、移住しました」


月の満ち欠けでも味が変わるお塩「海の先の陸へと沈む夕日」「絶品の海産物」がある大村湾
今は長崎県で暮らしていますが、子どもの頃は千葉県の海沿いに住んでいたという高田さん。そんな高田さんに大村湾の好きなところを伺ってみると
「私が住んでいた千葉市も対岸が見える場所ではありましたが、大村湾はどこに行っても対岸が見えます。特に夕日については、普通は海の先に沈んでいくと思いますが、海の先にある陸へと夕日が沈んでいくという絶景が望めるのが大村湾の特徴ですね!あとは、閉鎖性海域なので、栄養も豊富でたまりこみやすいことから、海の幸も非常に美味しいです!ちなみに、大村湾でイチバン有名なのが、ナマコ。お正月にもみんなで食べる習慣があるような地域です」
多くの方を巻き込んで海を守っていきたい
素晴らしい絶景や美味しい海の幸がある大村湾でさまざまな活動を行っている高田さんに、最後に今後の目標を伺いました。
「海洋ごみ問題や磯焼け、温暖化や気候変動、漁業の問題など、たくさんの問題がある中で、それらに意識の高い人が取り組めばいいというわけではないと感じています。日本人を支えてくれている海を守りたいという気持ちを一人ひとりが持って、未来により良い海を残すことができるんじゃないかと考えていけば、問題を解決に導くことができると思っています。ですので、諦めずにやればできると一人ひとりが思ってもらえるように、私自身も多くの方を巻き込んでいきたい!そこを目標にしています」






