2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、interfm番組内やPodcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今回のゲストは、一般社団法人 日本3D教育協会の吉本大輝(よしもと だいき)さん「3D×海」についてお話を伺いました。

海洋大国・日本の未来を担う!?3D×海のスーパーキッズを育成
普段から3Dデータを扱うお仕事をされている吉本さんは、「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」を企画し、主任講師として活動もされています。まずは、立ち上げたキッカケやプロジェクト内容についてお話を伺いました。
「プロジェクトを立ち上げたキッカケは、例えば、マッコウクジラとか大型の哺乳類のオスとメスとで頭の骨を比較したいとなった時、研究者は博物館に行ってサイズを測らないといけません。けれども、骨を3Dスキャナーでスキャンしてデータにしておけば、頭のサイズを測りたいとなった時に、データ上で測ることもできます。このように、博物館や研究者にとって3D化して研究に使いたいといったニーズが色々なところから出てきたんです。ただ、日本は海外と比べて遅れています。このプロジェクトでは、日本の3D教育は海外と比べて遅れているよねというのが、実施する上でのキッカケになった部分です。そして、プロジェクトでは、研究をはじめとした色んな分野に進むことになる中学生に向けて3Dの教育を行っていて、海に還元していくようなプロジェクトになればいいなという思いではじめました」

祖父はマグロを追ってハワイにまで行っていた漁師
中学生に海と3Dの教育を行っている吉本さんですが、今までにどんな海との接点があったのでしょう?
「僕自身、ものすごく海が大好きです。そして、祖父はマグロ船に乗っていた遠洋漁業の漁師でした。それも200海里がない時ぐらいの遠洋漁業の漁師だったので、マグロを追いかけてハワイまで行っていた話を小さい頃から聞いていましたね。それに、僕自身もよく釣りをするので、いっぱい釣り具はあります」
ちなみに、釣りつながりでお話してくださったのが、海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト2期生の釣り好きな研究生。その研究生は、オリジナルで最強のルアーを3Dで設計して、それを3Dプリンターでつくり、動きを研究していたそうです。
クラゲの研究で今までにない調査を中学生と試行錯誤
今年度は7月31日から4期生が始動予定のように、今まで多くの中学生と海を研究してきた吉本さんに、印象に残っている研究を尋ねてみると
「すごく印象に残っているのは、クラゲの研究です。3Dデータを取得する技術として3Dスキャンがありますが、その3Dスキャンにもいろんな手法があります。有名なのはレーザースキャナーといって対象物にレーザーを当てて、その反射する距離を測って形を取得していくという方法です。医療で使われているようなCTもそうで、実はCTは画像データの集合なので、それらを組み合わせると3Dデータにできます。ただ、CTを扱う上でネックな部分がありまして、放射線が通る時に同じ素材のものがあるときれいに写りません。どういうことかというと、例えば、クラゲは水に浮いている状態だと形を保っていますが、陸にあげるとベチャっと崩れてつぶれてしまいます。そのクラゲをきれいな状態でスキャンしようとCTを使った場合、水の中に浮かした状態になりますが、クラゲは99%近くが水なので、水とクラゲの境界がわからなくて撮影できない、形を読み取れないとなってしまいます。これがいわゆる透過率と呼ばれているものです」
ほとんどが水のクラゲをCTスキャンしようにも難しかったそう。では、どうやって解決したのでしょう?
「水とクラゲの透過率はほとんど一緒なので造影できないという課題を解決するために、人間でもCTで撮影する際にたまに行う“ヨウ素”を使っての造影を試みました。うがい薬とかでも扱われてるようなものですね。このヨウ素にクラゲを漬け込んで撮影してみようと実験しました。その結果は、ヨウ素にクラゲを漬け込むと水分を吐き出してしまい、クラゲがヨボヨボになって形が保てなくなり、撮影が難しいというものでした。なおかつ、水に浮かした状態でCT撮影をすると、揺れてしまうのできれいに写らない。ほかにも色々と方法を試しましたが、やはりクラゲを撮影するのは非常に難しくて、結果を言うと撮影するいい方法がなかったんですよ。ただ、今までこういう調査をした人もいませんでした。だから、『クラゲを撮影するにあたってアプローチをしましたが、できませんでした』という情報を世の中に残すのも、僕は非常に重要だと思っています。失敗した例ではありますが、いい失敗になったのではないかなと思っていて、すごく印象に残っています」
好奇心を刺激!アイデアのキッカケ!3D化で広がる可能性
最後に、3Dの面白さや可能性について伺いました。
「3Dプリンターで印刷したものは、本物ではないので触れます。いま博物館で求められているのが、“ハンズオン展示”と言って、触ったり体験できたりするもの。やはりそういう体験は、好奇心を刺激するという意味において、すごく大切なことです。触ってみて、手にとって、色んな方向から見てみる。また、現物だったら並べることはできなかったけれども、3Dデータにして並べてみる。すると、こういう違いがあるのかもしれないというような新たなアイデアにも繋がる可能性があると思います。僕も3Dプリンターで初めてつくった時に、今まで画面にしかなかったものが手に取れるようになった!という感動が今も原動力のひとつです。だからこそ、3Dは可能性がある分野ですし、面白いんじゃないかなと思っています」









