私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺っていく「Know The Sea」。Podcastなどを介してお届けしているこのコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
今日は、魚にまつわる知識を深めることができる「日本さかな検定」、通称「ととけん」に注目します。スタジオには、日本さかな検定協会代表理事の尾山雅一さんをお迎えし、そのユニークな活動の背景と、現代の魚食文化が抱える課題について伺いました。
「ととけん」誕生の背景:魚離れと失われた「物語」
池之上さんによると、灯台は近年、改めてその価値が見直されていると言います。その背景には、GPSの日本さかな検定は、2010年にスタートしました。その数年前、日本の歴史上初めて、日本人の胃袋における肉食と魚食の割合が逆転したことが、検定事業立ち上げのきっかけだったと尾山さんは語ります。
「魚離れ」の原因を探る中で、尾山さんは魚の「物語性」が失われていることに気づきました。
昔の町の魚屋さんでは、「今日はこんな魚が入ってるよ」「今が旬だよ」と、魚に関する様々な情報を教えてくれました。しかし、スーパーが主流になるにつれて、こうした「説明」が減り、人々はよく知っている魚しか買わなくなってしまいました。
結果として、日本全国で楽しまれていた600~800種類もの魚介類の中から、スーパーに並ぶ魚の種類が限定されてしまったのです。
「日本人は真面目で勉強好きだから、検定という形で魚の魅力を伝えようと考えました。でも、実は検定をやっているつもりはさらさらなくて、魚の面白い話題や情報を伝えることが私たちの事業なんです」。
「ととけん」は単なる暗記問題ではなく、ヒントを読み解きながら楽しく学べる工夫がされています。5歳から80代まで、幅広い年齢層の人が受験していることからも、その間口の広さが伺えます。

ととけん過去問に挑戦!日本の魚食文化に隠された秘密
ここで、特別に過去問を出題していただきました。
第1問
今から400年ほど前、伊豆七島の新島で生まれました。近海でアジやトビウオなどが捕れ、干物を作るのに適した白い砂浜があったと言われる、伊豆諸島の特産品を選びなさい。
1.くさや
2.酒盗
3.佃煮
4.へしこ
答えは…1. くさや!
「問題文にある『新島』『アジ、トビウオ』『干物』というヒントを読み解くことがポイントです」と尾山さん。へしこが福井の郷土料理であることなど、地理的な知識も問われます。
第2問
世界中の漁師町には必ずと言っていいほどご当地ならではの魚介のごった煮があり、水揚げされた魚介を煮込み、地元の調味料やハーブで味付けします。日本ならば醤油や味噌にネギですが、フランスのマルセイユになると、南仏らしくオリーブオイルににんにく、トマト、サフランとなるこの料理を選びなさい。
1.アクアパッツァ
2.カルパッチョ
3.セビーチェ
4.ブイヤベース
答えは…4. ブイヤベース!
「ごった煮」というヒントと、フランス語の響きから正解を導き出せるようになっています。
このように、問題を通して、各地域の食文化や歴史を学ぶことができるのが「ととけん」の魅力です。
郷土の味が消えていく:地球環境変動と魚たち
「ととけん」の問題には、地球環境にまつわる内容も含まれています。
近年、海水温の上昇により、魚の漁獲場所が大きく変化しています。例えば、かつては南の魚だったフグやブリの漁獲量が、今や北海道が一番になっています。しかし、フグのさばき方を知る職人がいなかったり、ブリを食べる文化がなかったりと、地域では困惑が広がっているのが現状です。
また、神戸の郷土料理「いかなごのくぎ煮」のように、温暖化の影響でイカナゴが不漁となり、伝統の味が作れなくなっている地域もあります。
「日本の郷土料理は、江戸時代のような平和な時代に育まれた文化です。それが、たった200~300年で失われようとしている。この現状を、検定の問題を通して知ってほしいと思っています」。

五感と物語で味わう「魚食」のすすめ
「ととけん」の公式ガイドブック『2025年ととけん公式ガイドブック“ニッポン魚グルメナビ”』は、「これを読んで魚食の旅に出てほしい」という思いで制作されています。
「五感すべてを使って、魚を味わってほしい。そして、その魚がどんな場所で、どのように獲られ、どんな歴史を持つのか、物語を想像しながら食べてほしい」と尾山さんは語ります。

「魚食」とは、単に栄養を摂取することではありません。それは、海という広大な自然の恵みを受け、その背景にある文化や歴史、そして環境の変化に思いを馳せることです。
日本さかな検定は、今年11月3日からオンラインで開催されます。詳細については、公式サイトで確認できます。尾山さんが情熱を注ぐこの活動は、私たち一人ひとりが魚を、そして海を愛し、守るきっかけを与えてくれるでしょう。

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