海洋ゴミ楽器集団ゴミンゾクのリーダー 打楽器奏者 兼 楽器製作家

大表史明

2024年6月からスタートした音声コンテンツ「Know The Sea」。私たちの宝である海を未来へつなぐため、さまざまなゲストをお招きして、海の魅力、海の可能性、海の問題についてお話を伺い、interfm番組内やPodcastなどを介してお届けしていきます。このコンテンツは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。

今回のゲストは、海洋ゴミ楽器集団「ゴミンゾク」のリーダーで、打楽器奏者 兼 楽器製作家の大表史明(おおおもて ふみあき)さん。6月20日(木)に放送されたInterfmの番組「Find Your Music!」内で、海洋ごみとゴミンゾクとしての活動についてお話を伺いました。

海洋ゴミ楽器集団「ゴミンゾク」ってどんな集団?

まずは、リーダーを務める海洋ゴミ楽器集団「ゴミンゾク」が、どんな団体なのか、どんな活動をしているのか教えて下さいました。

「僕たちは、海洋ゴミを主原料にして、世界各国の民族楽器から得た知識をもとに“海洋ゴミ楽器”というものを製作しています。それを通して、ゴミと資源の境目について考えるアート集団です」

いま世界中で問題となっている海洋ゴミから楽器をつくっているそうですが、始めた当時、地元の砂浜の状況に衝撃を受けたことが、楽器をつくるキッカケのひとつとなったとおっしゃっています。

「活動を始めたキッカケは、5年くらい前に環境啓発系のイベントで、とある企業から『海洋ゴミから楽器を作って演奏してほしい』という依頼を受けたことですね。そこで、材料を集めるために、地元の石川県で昔から慣れ親しんだ海へと行ったところ、砂浜がプラスチックでめちゃくちゃカラフルになっていたんですよ。その光景に衝撃を受けました。と同時に、こんなにゴミが落ちているなら、いろんな楽器が作れるなと思って。その当時の企画を継続して今に至ります」。

夢見心地になる音色!弦楽器の「フネンゴニ」

海洋ゴミ楽器は一体どんな音色なのでしょう?今回は実際に4つの楽器の音を聴かせて下さいました。まずは、弦楽器の「フネンゴニ」

「(西アフリカの)ギニアに“カメレンゴニ”という楽器があって、“ンゴニ”というのは弦楽器の総称です。その楽器をもとに、釣り糸からつくりました。“不燃ゴミ”からインスパイアを受けて、名前は“フネンゴニ”になっています」

この音色を聴いてポイ捨てはやめよう!「ポイステッキン」

続いて紹介して下さったのは「ポイステッキン」。ネーミングの通り、鉄琴です。

「(鍵盤は)アルミ缶を使っています。アルミは660.3℃の温度で溶けるんですよ。ですので、そのアルミ缶を溶かして、板状の穴を開けた砂の中に流し込んで、それを冷やしたものですね。ポイ捨てされたものでつくったので「ポイステッキン」と言います」

モンゴルの伝統楽器をモチーフにした「魚頭琴」

3つ目の楽器は「魚頭琴(ぎょとうきん)」です。弦が2本、弓は1本に見えますが、実は大量の“釣り糸”が使われていて、つくるのがとても大変だったとおっしゃっていました。

「2本の弦ですが、高音弦が40本の釣り糸、低音弦が60本ぐらいの釣り糸を束ねてつくっています。また、釣り糸はしなるので、そのしなりを利用して、釣り竿に約120本の釣り糸を張って弓をつくっています。張るのも苦労しましたが、一番大変だったのは釣り糸を解くこと!落ちている釣り糸は絡まっているので。そんな釣り糸で釣り糸をこする楽器となっていて、モンゴルの“馬頭琴(ばとうきん)”をモチーフにしています。馬頭琴は上のヘッドの装飾が馬になっているので馬頭琴と言いますが、この楽器はですね、頭のところに魚のルアーを付けてあるので、「魚頭琴(ぎょとうきん)」という名前になっています」

自転車からつくった「チャリンバ」

最後の楽器は、親指ピアノと呼ばれる「カリンバ」をモチーフにした「チャリンバ」。一体どんな楽器なのでしょう?

「アフリカのタンザニアとかに“カリンバ”という楽器がありますが、これを自転車のスポークでつくった楽器です。海や河川敷に行くと、バラバラになった自転車とかが落ちていたりしますが、その自転車のタイヤの放射状の針金を叩き潰して鍵盤にしてつくったので「チャリンバ」と言います」

楽しみながら聴く音楽から伝えられる海洋ゴミ問題

コンサートやゴミから楽器をつくるワークショップなど、精力的に活動されている「ゴミンゾク」。特に演奏活動から海洋ゴミ問題を伝えられていることに意義を感じているとおっしゃっています。

「演奏活動の中で、まず音楽で興味を持ってもらって、その楽器に興味が出てきた段階ぐらいで、楽器にまつわるゴミの背景とかを語ると、その話が伝わります。やっぱり難しい話とかだと、なかなか聞いてもらえないことも多いですが、こうやって楽しみながらだと聞いてもらえるというのはすごく感じてますね。僕たちの演奏を聴いて海洋ゴミを減らしていこうと思ってもらえることがすごく大事だなと思っていますので、全国でコンサートやっていますから、ぜひ近くでコンサートとかがあったら来ていただきたいです!」

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